◆東播磨随一の棚田 岩座神

今回はチョウとはちょっとはなれて、人と自然の調和(=里山)のおすすめポイントを紹介します。

 私の主なフィールドである東播磨の一番奥に杉原紙で有名な多可郡加美町があります。そんな加美町の最深部にその集落があります。総戸数21戸の小さな集落で、その名を岩座神といいます。えっ、何て読むのかって?“いさりがみ”と読みます。名前を聞いただけでも歴史の重みが漂ってくるとは思いませんか。東日本の方は驚かれるかもしれませんが、近畿地方の山奥には1000年以上の歴史を持つ集落がたくさんあります。

 私がたまたまここを知ったのは、下山で足が笑って滑ってころんで難儀した千ヶ峰に登った帰りになにげなく通りかかった数年前の9月のことでした。山の急斜面に開かれたすばらしい棚田に、銀色の稲穂が重くたれ、高原を吹く風にさわやかにゆれる美しい景観に目を見張ったものでした。これはすばらしい!筋肉痛も忘れ思わず車から降りてみると、大型のヒョウモン類もそこかしこに群れています。

 私も兵庫県内の各地に奥深く分け入って活動していますので、棚田は各地で出会います。でもこの岩座神ほど急斜面(平均勾配1/6)はめずらしい。一段一段がすばらしく高く、石垣上部では垂直に切り立っています。よくよく観察してみると、何と石組みの暗渠(トレンチ)まであるのです。

 数百年前からの人々の営みと播磨の自然とが融合した穏やかな姿が奇跡的に今に残ったというところでしょうか。地域の方々はいろいろなイベントで村おこしをはかっておられるようで、一見さんが訪れても暖かく見守っていただいけることも魅力です。

 ひがな一日、ぼーっとするのもいいですよ。


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