◆海外遠征 行動レポート

2024.11.15~18 香港


11月15日(香港:曇り時々雨)

本日より18日まで香港遠征。5月の台湾以来の今年2回目のチョウ撮影目的の遠征だ。朝4時自宅発、神戸空港の駐車場に車を止め、空港間のベイシャトルで関西空港に向かう。本格的な空港稼働前の時間帯で人の往来もまばら、閑散とした香港航空のカウンターで発券手続きと荷物預けを行い、保安検査、出国手続を経て8:30飛行機に乗り込み、出発を待つ。離陸は9:05、沖縄付近に停滞する台風の真上を飛ぶためか、時折大きく揺れた。

現地時間12:30(日本とは1時間遅れの時差)香港空港着。飛行機を降り、人の流れに任せて歩を進めると突然、電車のプラットホームに出てしまう。“ちょっと待って!まだ何の手続きもしていない!”と思いつつ、ホームにやってきた電車に乗り込む。のちに気が付いたことだが、滑走路と空港ターミナル間に相当な距離があり、効率的な人の移動を確保するため電車を走らせているようだ。羽田や成田、関空とは比較にならないほど巨大な空港らしい。電車に乗り込み二つ目の駅で下車。ここからやっと入国審査が始まる。がしかし、何という込み具合!ものすごい列の長さ!50mくらいの長さの列が何度も何度も折り返し、東京ディズニーランドかユニバーサルスタジオを彷彿とさせる列の長さ。たぶん優に数百mはあっただろう。入国審査が終了したのは列に並び始めた23分後であった。

外貨交換、SIMカード購入と入替え、オクトパスカード(買い物に便利な日本の交通系カードのようなもの)購入ののち、今回同行する東京出発組の友人たちと合流、市内に向かう二階建てバスに乗り込み、市の中心部にあるホテルに向かう。最初に予約したホテルが治安上の不安エリアにあるとの指摘を受け、日本人客が多いこのホテルに変更となった経緯がある。ちなみにこのホテル、小生の勤務する会社の御用達ホテルであり、日本から来た社員が常時宿泊しているとの話を予約した後に聞く。ホテルの地下にあるイオンモール飲食街で早い夕食を取り、イオンで翌朝のパンを購入、部屋に戻る。

(閑話休題)物価は日本の1.5倍から2倍くらいの実感だ。これは5月に行った台湾とほぼ同じである。菓子パンの値段が日本では100円から150円くらいだが、ここでは一番安いので170円(8香港ドル)、通常品は220円(10香港ドル)から440円(20香港ドル)くらいだ。こんなところに円という通貨の価値が下がっているのがよくわかる。日本にやってくる外国人が多いのはこのあたりに理由があるのだろう。

話を元に戻す。さあ、ゆっくり湯船に浸かろうと温水の蛇口をひねったところ、出てきたのはサビで真っ赤に染まった汚水のような水!しばらく流しっぱなしにしても、やや色が薄くなる程度で濁ったまま。仕方がないので真っ赤に染まった赤さび湯船に浸かる。風呂から上がり、ふとカウンターテーブルに置かれたA4ペーパーが目に入る。そこには“本日、温水配管工事を行ったため、温水は濁ります・・・冷水は大丈夫・・・”みたいなことが記載されていた(もちろん中国語でです)。さらに問題が発覚!トイレにウォシュレットがない!あそこに問題を抱えるわが身とすれば、これは非常につらい!こんなことなら携帯ウォシュレットを持ってきたのに・・・。などと不満を漏らしながらも、広い部屋で心地よく眠りにつく。


11月16日(香港:曇り時々雨)

本日から撮影スタート。午前8時、今回の案内をお願いしているColleenさん(女性)と合流。彼女が乗ってきたワンボックスカーで撮影地に向かう。途中、彼女の撮影仲間(プロの写真家&プロのガイド?)のEddy氏をピックアップする。少雨のなか走ること1時間、着いたのは中国本土の深圳が湾の向こうに見える海岸沿いの草地。小道沿いに点々と民家が連なっている。

車を降りてすぐ目に入ったのが、白い花をつけているつる性植物(イケマの仲間?)が何かの樹木に絡みつき、表面を覆っている高さ4~5mの“白い塔”だ。その塔にチョウが舞っている。じっくり見れば、今回の遠征での撮影目的種の一つであったアカネシロチョウが含まれている。個体の鮮度はイマイチながらさっそく宿願成就だ。すぐ近くにベニモンシロチョウも蜜を吸っている。ここのベニモンシロは台湾産に比べ色合いが違っている。全体的に白っぽく、後翅のベニは色が薄い。この2種を必死で撮影していたところへ登場したのはコモンタイマイだ。東南アジアでは普通種だが、分布の北限である日本での撮影は難しい。近年安定して発生を続けていた与那国島では昨年7月以降姿を消したと聞く。本種を求めて、2回も与那国島へ行ったのに、2回とも見事に空振り!因縁のチョウである。近似種のアオスジアゲハに比べ、吸蜜時間は短く、飛翔は速く、撮影に苦労する。民家の庭先に咲いているブーゲンビリアに来ていたのはオオルリモンアゲハ♂、遠目に見ても大変美しい。ただ背景がドン曇りの灰色空一色なので、露出補正に苦労する(結果、このときの画像はすべてダメ!)そのほかにこの庭で、クロアゲハ(ここでの本種はすべて無尾型)、モンキアゲハ、ウスキシロチョウを見る。この先を進もうとしたところ犬が数頭、道をふさぐような陣形でたむろしている。しかも猛烈な勢いで吠え掛かってくる。道幅は狭く、迂回するルートはない。Colleenさん曰く、私が持っていた脚を伸ばした状態での三脚を犬が嫌っているのでは?と判断したらしく、すぐに三脚をたたむよう注意を受ける。Colleenさんの判断は正しかったらしく、三脚をたたんで、犬の目を見ないようにして、皆で固まって“箱根の関所”を通過する。



関所を抜けてすぐ、民家の庭先に現れたのはイナズマチョウの仲間。想像以上に小さいのに驚く。だが、とまっている場所が実に情けない!小汚いプラスチックの桶の縁だ。気を取り直し、慎重に撮影する。さらに数10m進んだ木の下の水場でチラチラ飛ぶ白い小さなチョウ。てっきりコウトウシロシタセセリかと思ったが、飛翔は遅い。よく見れば図鑑でよく見るスソビキフタオルリシジミではないか!こんな変わった翅を持っているのかと、実物を前にして改めて驚く。ファインダー越しでも長い見事な尾状突起が良く目立つ。プリキャプチャーを使って飛び出す瞬間を狙うが、飛び出した方向がずれてしまい、見事に失敗した。遊歩道をどんどん進んで、次に現れたのは香港を代表するマダラチョウ:ミダムスルリマダラだ。八重山にいるツマムラサキマダラとマルバネルリマダラを足して二で割ったような外観をしている。以降、本種をいたるところで見かけ、多くを撮影することになった。コンクリート片にとまる黒いセセリは日本にもいるクロセセリと思われる(後日、クロセセリではなくマネシセセリと判明)。湿地の中の小道を進み、現れたのはハイイロタテハモドキだ。初めてお目にかかった種ではあるが、くすんだ色合いもパッとせず、個体の鮮度も悪いためあまり撮影意欲がわかず。ホシシジミタテハは鮮度がまちまちながらも次々現れる。キマダラセセリの近似種、ヒメジャノメの近似種(たぶんヒトツメジャノメ)、ヒメウラナミジャノメの近似種(たぶんコウラナミジャノメ)、チャバネセセリの近似種などが次々現れるがまったく同定できない。小道を折り返し、民家まで戻ってきたところ、何やら工事中のところにオレンジ色のタテハが舞っている。それを見たColleenさん、大慌てでEddyさんを呼ぶ。すぐにやってきたEddyさんも大興奮!“ラッキー、ベリーレア”。このチョウの名前はオナガタテハ、香港では大変珍しい種であり、Eddyさん曰く、撮影したのは10年ぶり!とのこと。何が何やらよく理解できていない日本組も必死で撮影する。民家の裏の草地でフチウラベニシジミのオスをみる(後日、フチウラベニシジミではなくエピクレスフチウラベニシジミと判明)。若干ではあるが、台湾産とは違っているようだ。フチウラベニシジミを撮影中に飛来した黒い影、翅裏の白線、眼状紋とも実に鮮やかなヒメシロオビヒカゲだ。あまりの奇麗さに思わず“ウワッ”と発してしまった。一時間後、車に戻り次のポイントへ出発!と、車に乗込んだのもつかの間、次のポイントは徒歩でも行けた100m向こうにあった。ここは観光地らしく、遊歩道を歩くと多くの人とすれ違う。

(閑話休題)

観光地の狭い遊歩道ですれ違う場合、日本や台湾では“こんにちは!”など声を出して挨拶するのか、もしくは、目と目を合わせ、軽くお辞儀をするのが普通だと思うのだが、ここ香港では「無視」するのが一般的のようだ。こんな些細なことでも国民性(民族性)の違いを感じてしまう。しかし、明らかに外国人と思われる人とすれ違う場合はやはり挨拶が成立していた。

本題に戻る。ヤツデに似た植物の花で蜜をすうのは東南アジアを代表する昼行蛾のトラシャクだ。標本ではよく見かけるが生きている姿を見るのは今回が初めて!ある意味、チョウの撮影以上に力が入る。

海岸沿いの小道に舞う茶色のシルエット、ホシホシシジミタテハかと思ったがなんだか違う。よく見ればヒョットコシジミタテハだ!変な名前が付いている本種だが、後翅のいびつな形状を見れば、なんとなくうなずける。本種も今回の遠征で撮影を狙っていたチョウなので嬉しさが込み上げた。リュウキュウムラサキ♂のテリハリを見る。ここでもスソビキフタオルリシジミを見る。聞くところによれば、本種は少し前まであまり見かけなかったのに、ここ数年各地で数を増し、普通種扱いになったとのこと。車道沿いを飛ぶ大きなタテハチョウを確認!2m先にとまったのはチャイロフタオだ。翅表の白状線が良く目立ち大変美しい。次の目的地に向かって本格移動。小雨が降り続く中、1時間後に到着したのは「鳳園胡蝶保育区」(*胡蝶の胡の字には虫偏が付く)の名称の公共のチョウ観察園だ。

本園の最高責任者Yau博士の出迎えを受け恐縮至極!Yau先生は超多忙とのことで、挨拶&握手後、飛ぶように去られた。ここでお世話になったのはSuiさん、最近ご自身が出版された香港チョウ図鑑の説明をいただいた後、撮影に入る。ゲストハウスの前庭に咲く花になにやら黒っぽい大きめのハチが飛び回っている。何とこれがシロスソビキアゲハだった。あまりの小ささ、止まることなく飛び続ける様に驚く。普通のチョウのように胴体と翅を交互に上下させ、バタバタと羽ばたくのではなく、オオスカシバやホウジャクのように胴体はそのままに、翅だけ高速上下させて飛んでいる(*「動画ショット」コーナーにて飛翔シーンを公開中、併せてそちらもご覧ください)。鳥のハチドリにも似ている飛び方だ。静止してくれるのなら何とかなりそうだが、飛翔シーンの撮影となると相当難しそう。と、あれこれ考えているうちに、となりから“キシタが飛んでいる!”との声がかかる。上を見れば確かにキシタアゲハだ。今回の遠征における最大の撮影目的種である。聞けばキシタアゲハではなくヘレナキシタアゲハの方らしい。シロスソビキに同じく、こちらも飛ぶばかりで止まらない。何度か撮影を試みるが、背景はドン曇り空一色、滑空飛翔だが結構スピードも速く、証拠写真程度の成果しか得られず。遅い昼食後、Eddyさんに森の中の撮影ポイントを案内していただく。森の中にぽっかり空いた空間に広がる一面のお花畑、期待通り多くのチョウが活動している。まさに夢のような空間!シロスソビキアゲハもいっぱい飛んでいる!各種のマダラチョウやシロチョウ、黒いアゲハも混じり、どれから撮影するか思わず迷ってしまう。とは言いつつ、まずはシロスソビキからだ。植栽の小さなピンクの花にとまることも多く、数多く写すことができた。頭上を見上げれば、ヤツデに似た大木の樹冠に数多くのソロスソビキが舞っていた。できるだけ多くの個体をファインダーに捉えるべく、タイミングを見計らいシャッターを切る。最多で4頭getできたか?しかし結果は3頭だった。この花にはほかにも、ベニモンシロチョウ、コモンタイマイ、ウスキシロチョウ、ミダムスルリマダラ、スジグロカバマダラなど多くのチョウが集まっていた。さらにヤエヤマカラスアゲハの吸蜜を見る。Eddyさんに促され、後ろ髪を控える思いで次のポイントへ移動。やってきたのは明るい開けた畑のようなところ。畑の一角にあるマメ科の植物に多くのマダラチョウが集まっている。スジグロカバマダラ、ウスコモンマダラ、ミダムスルリマダラ、リュウキュウアサギマダラ、ウスグロシロオビマダラ、ヒメアサギマダラまでは確認できた。花は咲いていないのになぜこのような種が集まるのか、それとも何かの汁が出ているのか見当もつかない。園内をさらに移動する。森の中、突然大きなチョウが飛来し頭上3mの葉の上にとまった。残念ながら翅の上部しか見えない。トガリワモンではなくチャイロフタオと見た。お墓の前でゴイシシジミのペアを見る。日本組は“な~んだ、ゴイシか・・・”との反応だが、Eddy氏は違った。顔つきが変わり、必死の形相だ。小雨が降り続く中、10分15分と時間が経過してもEddyさんの撮影は終わらない。あとで聞けば、香港ではゴイシシジミ自体が珍しく、まして交尾シーンとなればめったに出逢うことがない貴重なシーンとのこと。ゲストハウスに戻って即、Colleenさん、Suiさん相手に、先刻撮影したゴイシの画像を見せていたことから余程うれしかったのだろう。次第に雨が強くなり、とりあえずゲストハウスで雨宿り。しばらくすると雨が止む。と同時にヘレナキシタが飛び始める。中庭にある中木にとまったことを確認、三脚をセットし、飛び立つ瞬間を狙う。残念ながら見上げる角度で、しかも背景が明るい。よいアングルを求めて、背景に高層住宅を入れてある程度の背景の暗さを確保し、その時を待つ。幸運にもドンピシャで飛び立ち、ピントバッチリの画像を得ることに成功する。

午後3時、バス、MRTを乗り継ぎホテルに戻る。

11月17日(香港:午前:小雨、午後:曇り時々小雨、夕方から晴れ)

午前7時50分、お世話になっているColleenさんと本日のガイド(名前を失念!)氏がホテル前の待ち合せ場所に到着。降り続く雨の中、1時間ほど車を飛ばし本日午前の目的地に着く。ゴロゴロした巨岩が山の斜面のあちこちに点在する有名な景勝地らしい。山裾の果樹園と草地の境界を歩くうちに、下草の雨粒と降りしきる小雨に濡れ、全身ビショビショになる。雨の中、ホリイコシジミ、タイワンスジグロチョウ、タイワンキマダラ、リュウキュウムラサキ、オジロシジミ、モンシロチョウ、ヒョットコシジミタテハ、セセリチョウ各種を見る。茶色のタテハを確認、カバタテハだ。本種は10年ほど前、一時的に八重山で発生したこともあったが、数年で姿を消し、以降機会に恵まれずこれまで撮影できていなかった種なので“やっと写せた”感じだ。果樹園のなかの草地で出遭った小さなセセリはホシゾラセセリと言うらしい。なんともかわいい和名が付いている。後翅裏面中央の斑紋が印象的で、とてもかっこ良い!畑の片隅に植えてあるランタナにメスシロキチョウ♀が静止中、そのメスを見つけた同種のオスが次々飛来する。本種に特別な思い入れのあるわが身としては、“シャッターチャンス到来!”とばかりに大急ぎで撮影準備に入るが、あろうことかメスが飛び立ってしまい、以降メスもオスも戻ってこず、撮影は失敗。この地を訪ねた最大の目的はハレギチョウの撮影だ。

同行のガイド氏にどのようなところにとまるかレクチャーを受け、樹冠の葉を念入りに見ていく。探すこと十数分、目の前5m、高さ3mの葉にとまる大きなタテハを発見!よく見ればまぎれもなくハレギチョウだ!!「ハレギ発見!」と大急ぎで皆を集める。全員で撮影開始、約10秒後には飛び立ち、高所の樹冠のなかの茂みに姿を消した。カメラを構えた者全員が安どの表情だ。畑の一角、木材・切り枝捨て場に多くのマダラチョウが集まっている。ウスグロシロオビマダラ、スジグロカバマダラ、ミダムスルリマダラが10頭以上か?なぜここに集まっているのか見当がつかない。この辺り一帯はチョウの撮影ポイントらしく、地元のチョウ撮影愛好グループが次々やってくる。女性も半分くらいいる。

小さな川、果樹園、畑、薄暗い森、と微妙に重なり合った変化に富んだ環境に多くのチョウが棲息している。イケマ(?)の花にアカネシロチョウを見るが、今日のアカネシロは見るも無残な超破損個体。今日もセンダングサで蜜を吸うスソビキフタオルリシジミを見る。ガイド氏が突然大声を発し、皆を集める。彼の指差す先4mにとまった黒いシジミに大興奮。よく見れば翅裏に黒い斑点が点在する少し大きめのシジミだ。学名:Deudorix smilis、英名:Princess Flash、和名:不明(後日、スミルスグワバシジミと判明)。ヒイロシジミの仲間らしいが、飛び去る際にチラッと見えた翅表はオレンジ色ではなく、水色であった。ガイド氏曰く、香港では大変珍しいシジミチョウとのこと。ランタナの花株にコモンタイマイ、オオルリモンアゲハが蜜を吸いに来ている。オオルリモンは目立った翅の破損もなく、大変美しい。至近距離で鱗粉までがくっきり写るよう時間をかけて撮影する。翅裏がグレー色でトラフシジミに似たシジミがあちこちの花にとまっている。ガイド氏によればすべてヒイロシジミとのこと。ヒイロであれば、翅表は緋色のはず、皆に聞けばときどき翅を開いて止まっていた、とのこと。小生はまだ一度も見ていない!必死で探したところやっと発見!破損個体ながら翅表は期待に違わず緋色(ヒイロ)であった。黒いタテハが視界を横切る。“なんだ?これは?”とまったところをよく見れば、翅表に何の模様もなく、深いこげ茶色単色のタテハであった。ガイド氏からチビコムラサキのオスと知らされる。はるか遠くにとまったタテハチョウ、望遠レンズ越しに確認すれば、アカボシゴマダラであった。ここでも多くのシジミ、セセリ、ジャノメを見るが同定できなかった。ここでの撮影は11時で終了。次の撮影地に向かう途中、市内で昼食をとる。

(閑話休題)

この日の昼食を摂るため入った食堂は香港の伝統的な食堂とのこと。店の名前もズバリ「60年代」思わず笑ってしまった。100席くらいある結構大きな食堂だが、ほぼ満席。待つこと10分、ようやく店内に入り、分厚いメニューの中から適当に選んで注文する。注文したのは豚丼だ。値段は60香港ドル(日本円で約1300円)、リブ付きの分厚い豚肉が大量に入った酢豚の味付け、別皿で出てきた白飯もボリュームたっぷり!なかなか良い昼食であった。

午後に向かったのは空港近くの山のふもとの自然歩道。歩き始めてすぐに表れたのはヒメウラボシシジミ、チラチラ飛びなかなか止まらない様子は八重山に同じ。遊歩道を歩いていると頻繁に姿を見せるのは、ヒメジャノメ近似種(たぶんヒトツメジャノメ)、リュウキュウミスジ(?)、シロウラナミシジミ、ミナミキチョウ(?)などだ。新鮮なヤエヤマイチモンジ♂を見る。ヒメシロオビヒカゲは新鮮で翅裏は大変美しい。遊歩道を抜けた集落にもチョウが多い。高速で飛び回るのはオジロイナズマか?畑にはスジグロカバマダラが群れている。このスジカバ、八重山産や台湾産とはやや違っていて、香港産は一回り大きく、後翅表のオレンジ色がやや薄い。黒線とオレンジ地色がはっきりしていて、視覚的には香港産の方が美しく見える。遊歩道沿いの休憩所のベンチ裏、何気なく見ればイヌビエがびっしり、“これはもしや?!”と注意深く見れば、期待通りハマヤマトシジミがあちこちで飛んでいる。八重山の友人から聞かされていた通りの小ささに驚く。これで本種の撮影のためにわざわざ大東島へ出かける手間が省けたというものだ。突然、ガイド氏がバナナ畑に入り、バナナセセリを探し始める。数分後、全員集合の声がかかる。急いで畑に入ってみれば、畑の中の薄暗い空間を猛スピードで大きなセセリが飛び回っている。やがてバナナの葉の裏に静止、逃げられないよう交代しながら慎重に撮影する。

今来た道を引き返す途中、頭上3mでテリを張るオジロイナズマ♂を発見!近づく同種のオスは元より、様々な接近者に反応しスクランブルをかけるが、元いた葉に正確に戻ってくる。見上げる角度で、良いカメラポジションが確保できず、やむなく翅裏&逆光での撮影となる。渓谷の陽だまりでチビコムラサキのメスをみる。午前に出遭った真っ黒なオスとは似ても似つかぬその姿。本来のコムラサキに良く似たメスであった。性差の見た目の違いはメスグロヒョウモン以上か?!とても同種とは思えない。森を抜けたところでまたしてもスソビキフタオルリシジミを見る。しばらくすると静かに翅を開いてくれた。翅表のスカイブルーが大変美しい。海岸近くのマングローブの上でウラキンルリツバメを見る。天気が急速に回復した午後、最後に出遭ったのはシロミスジ近似種とミナミオオミスジ、それとトラフシジミにそっくりのマネアトラフシジミだ。午後3時半、今回の遠征におけるチョウ撮影を終了する。

(閑話休題)

香港、台湾、日本、3者の違いについて、全く個人的な感想だがこの場で少し紹介したい。 ◇【町のきれいさについて】台湾、日本ともゴミなどあまり落ちていなくて基本的にきれいだが、香港は違う。タバコのポイ捨ては日常茶飯事、おばちゃんが清掃している前に火のついたタバコを捨てたのには驚いた。しかも捨てた本人は薄ら笑いを浮かべていたのだ。ファーストフードの容器や包み紙など路上へポイ捨て、町の中はいたるところでゴミがあふれていた。◇【町なかで行きかう人々のバイタリティーについて】残念と言うか、当然というか、予想通りと言うか、順位を付ければ、香港 〉台湾 〉日本の順であろう。香港の人々は声も大きく元気が良いと感じた。ちらみに、街中を走っている車のグレードもこの順であろう。◇【人の親切さ、やさしさについて】これは、台湾 〉日本 〉香港の順であろう。◇【交通マナーについて】日本 〉台湾 = 香港だと感じる。電車の乗降について、日本では降車する人が終わるまで乗り込まないが、台湾、香港とも、お構いなくバンバン乗り込んでくる。電車の車内も話声でうるさい。マナーとは外れるが、台湾では車は右側通行ため、道を横切るときなど怖いが、その点香港は日本と同じなので安心して渡れる。◇【ちょっとした買い物時のカード支払いについて】台湾 〉香港=日本、この順であろう。台湾のユーユーカードは使い勝手が良い。香港のオクトパスカードと日本の交通系カードは似たり寄ったり、同じくらいの使い勝手であろう。◇【自然保護に関する意識に高さについて】香港 〉台湾 〉日本、残念ながらこの順であろう。香港では政府が全面支援している自然公園、保護施設がいたるところにある。国土の大きさに関連しているのかもしれないが、貴重な自然環境を不可逆的に破壊する太陽光パネルを臆面もなく設置し続けているどこかの国とは大違いだ。ざっとまあこんな感じだ。

11月18日(香港:晴れ)

香港遠征最終日、日頃の行いが悪いためか、フィールドに出る時間が確保できなかったこの日に限って晴れ渡った。当初の予定では夕方の遅い時間の便だったので、少しは撮影できる時間が持てるかと思っていたが、航空会社の都合で時間変更となり、今日は移動のみとなった。

午前10時ホテル出発、11時空港着、入国時に購入したオクトパスカードを返却(本来は返す必要はないのだが、あと2か月で満65歳に到達するわが身としては、65歳以上の特典が付くオクトパスカードは再訪時に新たに購入した方がベターと判断)、搭乗手続き、出国審査、日本円への両替など各手続をこなし、14時前機上する。行きとは逆に1時間プラス、関西空港着は19時となる。預けた荷物がなかなか出てこずイライラ、20時発のベイシャトルに間に合わず、やむなく1時間余分に過ごす。この日は北風ビュービューで波が高く、停泊中の船が揺れて容易に乗り込めない。少し波が収まる一瞬を狙って、決死の覚悟でベイシャトルに飛び移る。港を出れば出たらで船は大揺れ!どうなることかと思ったが神戸に近づくにつれ、波は嘘のように収まった。4日前に預けたマイカーで22時30分、無事自宅に到着。


TOPに戻る