◆海外遠征 行動レポート
2025.2.27~03.04 台湾
2/27(曇り)
2025年、第1回目の遠征。本日から3/4までの6日間、台湾南部の墾丁での撮影。朝6時自宅発、関西空港へは今日は電車で移動する。いつもの遠征は自宅から神戸空港駐車場までマイカーで移動し、無料駐車場へ。その後、神戸空港⇔関西空港の海上交通:ベイシャトルを利用するのだが、これがなぜか毎回慌ただしくなってしまう。それに比べ、時間はかかるものの電車移動は楽チン!ウトウトしながら、心穏やかに移動できる。関西空港着9:20。中国のLCC:春秋航空のカウンター前は黒山の人だかり!“これはマズイ!”しかし小生が利用するピーチ航空のカウンターはガラガラ、何事もなくスムーズに手続きが進む。予定通り関西空港を11:00に離陸。途中、窓から山の頂部のみ冠雪している四国の山並みを見ながら眠りにつく。
![]() |
山の頂部のみ冠雪している四国の山々 |
台湾の南部は緯度も低く、気候は亜熱帯より熱帯に近いと聞いていたが、けっこう涼しいのに驚く。午後7時の時点で20℃をちょっと超えたくらいだろうか?この気温なら石垣島と変わらないのではないか?
2/28 (午前:曇り時々小雨、午後:晴れ)
撮影1日目、朝一番(午前8:15発)のバスで山の上にある墾丁国家森林遊楽区(以降、墾丁公園と示す)、社頂自然公園(以降、社頂公園と示す)に向かう。
![]() |
国道沿いにある墾丁公園入口の門、公園自体は山の上にある |
このバス、一日に2~3本しか運行していない。たまたま本日は台湾の祝日に当たり、平日にも関わらず良い時間の出発となった。20分で終点到着。小雨の中、社頂公園に続く車道を歩く。車道の路肩に咲く白い花(種名分からず)にオオゴマダラが群れている。当地ではオオゴマダラが大発生しているようで、いつでも、どこでも多数の個体を目撃する。道端の紫色の花(八重山にも咲いているが、これまた種名分からず)で蜜を吸うタイワンアオバセセリを見る。社頂公園内に入り、遊歩道を歩く。満開の小さな花(ヒサカキに似た花だが種名分からず)で蜜を吸っていたオレンジ色の大きなセセリ。今回の遠征で出遭いたかったトビイロセセリだ!サイズはアオバセセリにほぼ同じ、飛翔スピードはアオバと同じか、やや速いくらい。堂々たる体躯で貫禄十分!じっくり時間をかけて撮影する。リュウキュウチクがあちこちに生えているため、もしやシロオビヒカゲが姿を見せるのでは?と想像していたところ、期待に違わず現れた。やや明るいところに咲くヒサカキ似の花におびただしい数のマダラが集まっている。数の多い順に、ホリシャルリマダラ、オオゴマダラ、ルリマダラ、リュウキュアサギマダラ、ヒメアサギマダラ、マルバネルリマダラ、ウスコモンマダラ、ツマムラサキマダラ、1頭のみタイワンアサギマダラが混じっていた。これらマダラが入り混じり、一つの花株に100頭以上の個体が集まっているようだ。ここのホリシャルリは小さく、ルリモンジャノメにそっくり!飛んでいてもどちらか分からない!八重山でルリモンジャノメをイヤと言う程見てきている小生でも迷ってしまう。小さなシジミチョウも次々現れるが、瞬時の同定は不可能。カクモンシジミ、タイワンルリシジミ(=ヤクシマルリシジミ)くらいは同定できるが、ヤマトシジミ似のコイツは何だ!じっくり見れば、どうやらタイワンクロツバメシジミのボロ個体のようだ。遊歩道のあちこちでタイワンキマダラを見る。あちこちで見ると言えば猿!常時、鳴き声を発し、100m歩くうちに必ず現れるくらいの密度の濃さだ。
![]() |
ニホンザルに似ているが尾があった |
ヒサカキ似の白い花にはミスジの仲間も多くやってきているが、これまた同定困難種ばかり。何とかシロミスジは分かったが・・・。アゲハの仲間は少ない。シロオビアゲハ、ルリモンアゲハ、アオスジアゲハを見かけるのみ。社頂公園の外に出て、集落にある明るい広場の生垣の花にチョウが集まっている。紫色の栽培種だが種名は分からない。来ていたのはカワカミシロチョウ、ウスキシロチョウ、トビイロセセリ、コモンタイマイ、オオゴマダラなどなど。このうち、コモンタイマイとトビイロセセリに的を絞って集中的に撮影する。それにしてもコモンタイマイの動きは素早い!一箇所での吸蜜時間はコンマ何秒の世界、隣の花に移動するのではなく、大きく離れた花へ一気に移動する。慣れないうちはスカ写真の山を築くが、そのうちに撮影のコツが何となく分かってくる。昼頃から天気は急速に回復、墾丁公園に向かう。途中、車道わきのランタナの花で蜜を吸う見慣れないシロチョウが目に入る。色が何だか変!前翅表は真っ白、後翅表はオレンジ色!翅裏は両翅とも濃い黄色!初めて出遭ったキシタウスキシロチョウであった。墾丁公園内を散策する。
![]() |
墾丁公園前のベンチから見た西の海、熱帯の海だ! |
この公園は有料だ。マメ科の低木の周りを飛ぶ白いシジミ、ルリシジミの仲間だろうと思ったが、念のため確認すればシロモンクロシジミであった。カイガラムシを探したが見つからず。ブーゲンビリアの花にアゲハがやってきている。ナガサキアゲハ♀、ルリモンアゲハ♂、シロオビアゲハ♂♀、更にマダラシロチョウも来ていた。森の中でタイワンイチモンジ♂、ナガサキアゲハ♂を見る。ここのナガサキ♂は後翅表の青い鱗粉が良く目立ち、インドのテンジクアゲハの趣がある。午後2時、墾丁公園を出て社頂部落のなかにある公園に戻る。トビイロセセリの数が増し、4頭、5頭とあちこちで蜜を吸っている。カワカミシロやコモンタイマイも数を増しているようだ。タイワンスジグロチョウもきていた。午後4時、本日の撮影を終了しバス停に戻る。本日の歩数は2万歩を超えた。常に約10㎏の撮影機材を背負って、山の中を歩き回ったこともあって、疲労困憊!夕刻には正直一歩も歩けなくなった。
宿泊しているホテルについて、約100室くらい部屋数のあるリゾートホテルだが、前日の宿泊客は我々2人だけ!従って朝食サービスは休止とのこと(現金で200元(日本円で約900円)の返金があった)。ところが本日はロビーが立錐の余地もないほど人がいっぱい!何だこれは!前日との格差に驚く。もちろん“明日朝の朝食サービスは行います”とのことであった。夜市でごった返す道を進み、昨晩の中華料理屋へ繰り出し、腹を満たす。
![]() |
夜市はこんな感じ、国道ながらほぼ人で埋め尽くされている |
(閑話休題)
トイレのマナーについて、初めて台湾に行かれる方が驚くかつ戸惑う事例を紹介したい。台湾ではまず温水便座・洗浄便座はない(*高級ホテルなら設置されているかもしれないが、そのようなホテルに泊まることがないので分かりません)。更に、“大便用足し”のあと使用したトイレットペーパーはそのまま流してはいけない!便器の横に必ずサニタリーボックス(蓋のない場合はサニタリーバスケット)があるので、そこに捨てることになっている。わざわざ日本語で、“トイレットペーパーを流さないでください!”と明記している場合もある。日本人としては、ごく普通に身に付いている習慣であり、無意識のうちについつい流してしまう。“汚れたままのトイレットペーパーをそのままボックスに入れて臭くない?!”、“下痢の時はどうするの?!”と考えてしまうのだが・・・。かつての当地のトイレットペーパーの紙質が悪く、そのまま流すとトイレが詰まってしまうのを未然に防ぐための習慣が今に残っているだけだと思うのだが・・・。台湾へ行かれる際は充分注意したいマナーである。
3/1 (晴れ)
撮影2日目、朝から青空が広がり期待が持てる一日。午前6時45分、7時から始まる朝食サービスを受けるため食堂へ一番乗り。しばらくすると来るわ、来るわの宿泊客。アッと言う間に100人超。バイキング形式だが、たいていは美味、“ちょっと無理・・・”はわずかであった。腹も満たされ、気力充実で、路線バスに乗り、山の上(=墾丁公園前駐車場)に向かう。終点でバスを降り、社頂公園に向かって歩き始めてすぐ、ナガサキらしき大型アゲハが飛来。車道の脇に生えていた樹の高さ3mの葉先にとまる。よく見ればキシタアゲハ♀だ!高ぶる気持ちを押さえ、大急ぎで機材を出し、撮影の準備に入るが、無情にもその横を車が通過、驚いたキシタ♀は飛び立ち、茂みの向こうへ流れて行った。昨日は一度も見なかったこともあり、悔やんでも悔やみきれない運のなさだ。意気消沈のなか、社頂公園内の遊歩道へ入る。まず現れたのはジャノメタテハモドキ、初めて出遭う種だ。カシに似た樹から大型の黒っぽいシジミが飛び出す。ムラサキツバメかと思ったが、のちに宿で画像をじっくり見ればエグリシジミであった。本種も初撮影。遊歩道のあちこちに咲くヒサカキ似の白い小さな花にオオゴマダラ、ホリシャルリマダラ、ルリマダラ、リュウキュウアサギマダラ、ヒメアサギマダラが群れている。あまりにも数が多いため、次第に撮影意欲が失せ、見向きもしなくなる自分が怖い。ヒイロシジミかクラルシジミか、翅裏だけでは良く分からないシジミもあちこちで蜜を吸っている。同行の友人が、突然“キシタ!!”と叫ぶ。薄暗い茂みのなかの枯れ枝にとまり、翅を緩やかに翅をバタつかせているキシタアゲハが目に留まる。これだけ光量不足だと、シャッタースピード&露出補正に細心の注意を払う必要がある。大急ぎでスタンバイ!毎秒12コマで連写!写した画像を確認するまでもなく、“やった!撮影成功!”の実感が湧いてくる。友人が最初に写した画像をチェックすれば、バタつくキシタの隣に抜け出たばかりの蛹の殻が写り込んでいた。まさに羽化直後、初飛翔前のウォーミングアップに遭遇したことになる。ここはキシタの発生地、成虫が好むクサギも咲いていて、待っていればここで撮影できると判断する。
![]() |
キシタアゲハが上空を飛ぶポイント |
期待にたがわず、予想通り、30分後、蜜を吸いにやってきた。逆光のポジションしか確保できなかったが仕方がない!背景の明るさ(暗さ)に注意しながら一気に撮影する。夢のような時間はすぐ終わった。時間にして10秒あったか、なかったか・・・。次の飛来を期待するが、待てど暮らせどやってこない。しかたがないので、昨日コモンタイマイを撮影した部落のなかにある広場へ行ってみるが、めぼしいものがいないため、早々に森の中のクサギの花の前に戻る。ふと樹冠を見上げれば、悠々と青空をキシタが舞っている!以降丸2時間、ひたすら飛翔シーンを撮影。スカ写真も多いが、手ごたえあり写真も混じっている感触があり、集中して撮影する。キシタは常時舞っているわけではなく、時々休憩するかのように、葉にとまることも多い。葉にとまると黄色の後翅が隠れてしまい、作品的にはあまり良いとは言えない。キシタ撮影の合間を使って、クサギに頻繁に蜜を吸いにやって来るルリモンアゲハを撮影する。テリを張るタイワンキマダラ、ヤエヤマイチモンジを見る。以降もクサギにやって来るキシタを待ったが、二度と来なかった。オオベニモンアゲハ、タイワンアサギマダラ、ウラギンシジミ(ひょっとしたらタイワンウラギンシジミか?)を見る。午後2以降、シロオビアゲハやカラスアゲハ(タイワンカラス?ヤエヤマカラス?)も姿を見せるが、飛ぶばかりでシャッターチャンスなし。午後3時、キシタポイントから撤収、広場の生垣でコモンタイマイ、ウスコモンマダラ、ベニモンアゲハ、オオゴマダラ、トビイロセセセリを撮影する。午後4時、バス停に戻り本日の撮影を終了する。キシタ撮影成功を祝しいつもの中華料理店でタイワンビールを手に祝杯を挙げる。
(閑話休題)
日本であれば、旅行先や出張先で、複数人が集まって夕食を取る際は、たいてい“ビールを飲みながら・・・”となるが、台湾では少し事情が違っているように感じる。家族や友人が食堂で夕食を取っていても、まずテーブルにビール瓶は見かけない。そもそもビールを置いていない食堂すらある。コンビニでは地元ビール、日本ブランドビールとも置いてはいるが、種類は多くない。ワインは置いているが、とにかくバカ高い!この辺りにも酒にまつわるお国事情が垣間見え興味深い。
3/2 (曇り一時雨、一時晴れ)
撮影3日目、昨日とは打って変わって、終始曇りがちの一日。ときに小雨、ときに太陽が顔を出すが、いずれも長続きしない。昨日、一昨日に続き、8:15の路線バスに乗り山の上の墾丁公園に向かう。終点到着まで20分、さらに歩くこと15分、社頂公園のビジターセンターに着く。
![]() |
ビジターセンター前の正規の社頂公園入口 |
公園内を徒歩で巡るネイチャーツアーが盛んに行われており、公園ガイドに率いられた10人~20人の集団が次々出発していく。公園ガイドの注意喚起を促す指示をすぐ傍で聞いていたが、一言も理解できず。台湾華語(北京語)ではなく、これが台湾語(主に南部で用いられている言語)なのであろう。ツアーの後を追って我々も出発する。基本的に公園内は森の中の小道のみ、起伏に従ってアップ・ダウンを繰り返す。シジミ、セセリ、ジャノメの登場を期待したが何も姿を見せない。チラッとクロテンシロチョウが飛んだのみだ。やっと現れたのはタイワンクロツバメシジミ、日本では、“日当たりの良い崖のチョウ”だが、ここでは照度に関係なく、“森のチョウ”のようだ。公園内をあちこち歩きまわったが、成果は乏しく、昨日粘ったキシタポイントにたどり着く。ヒサカキに似た低木の白い花に今日も多くのチョウが群れている。オオゴマダラ、ホリシャルリマダラ、ルリマダラ、リュウキュウアサギマダラ、タイワンアサギマダラ、ヒメアサギマダラに混じって、今日はツマムラサキマダラ、マルバネルリマダラが各1頭確認する。このマダラ軍団には、八重山では腐るほどいるスジグロカバマダラがまったくいない!白いヒサカキ似の小さな花を丹念に見ていくと翅裏の暗色のシジミがあちこちで蜜を吸っている。ほとんどがクラルシジミであろう。日本本土のダイミョウセセリのように常に翅を全開にしてとまるセセリの吸蜜を見る(後日、オオクロボシセセリと判明)。ミスジの仲間も3種類くらいいるようだが、とても同定できない(後日、1種はタイワンイチモンジ♀と判明)。キチョウの仲間を複数姿を見せるが、これまた同定不可能。飛翔で明らかに種名が分かるのは、アオスジアゲハ、クロテンシロチョウ、ウスキシロチョウ、ツマベニチョウくらいだ。シジミもアマミウラナミとタイワンルリ(=ヤクシマルリ)くらいが同定できる限界、その他は見かけてもすぐには同定できない。ヤエヤマイチモンジ♂はテリを張ったり、吸蜜したりで忙しく活動する。貧相なクサギの低木、これでも貴重な蜜源らしくルリモンアゲハがたびたびやって来る。ボロから新鮮までいろいろやって来るが、なかでもメスは美しく、近接での撮影では緑色に輝く翅表の鱗粉まできれいに写る。撮影中、頻繁に黒系アゲハが視界を横切っていく。カラスアゲハかヤエヤマカラスアゲハのどちらかだと思うのだが、クサギの花に来ないため同定できず。低い位置の枝にとまるクロアゲハ♂を見る。当地のクロアゲハはどれも尾状突起なしタイプだ。雲が薄くなるとキシタが高所を舞うようになる。しかし、晴天だった昨日のように活発には飛ばない。撮影するにしても、背景が曇天では、うまく写せない。回数は少ないが、オオゴマダラやルリマダラ(?)と追い駆け合う。と、突然、先述のクサギにキシタが飛来する。翅の破損がまったく見当たらない新鮮なオス!シャッターチャンス到来で怒涛の勢いで撮影する。昨日に続き2回目の吸蜜シーンなので、わりと落ち着いて撮影することができた。再度の飛来を期待したが、上空から降りてきた(=落ちてきた)のは雨だった。帰り道、ジャノメタテハモドキ、ルリタテハ(当地ではルリイチモンジと言うらしい)を見る。墾丁公園前のバス停でバスを待っていると、視線の先50mをキシタが渡っていった。本日の撮影においては、地元のカメラマンも加わった。数百万円するような本格的なビデオカメラを携え、乗っていたのはポルシェのツーリングワゴン。こちらから、“キシタアゲハ撮影のためだけに台湾南部の当地へやってきた”、向うから、“日本ではどんなマダラチョウが見られるのか?”など、チョウ談義に花を咲かせながらの楽しい撮影となった。彼が帰る際にもらった名刺には、映像制作会社の技師と記されていた。本日もいつも食堂で祝杯を挙げホテルに戻る。
3/3 (晴れ時々曇り)
撮影最終日、平日なので山の上行きの路線バスが良い時間に走っていない。仕方がないのでタクシーをチャーター、山の上まで400元(約1800円)、15分で到着。今日はキシタアゲハ一本にしぼり、ポイントに向かう。とは言いつつ、これまで真剣に撮影してこなかったホリシャルリマダラ、ルリマダラを時間をかけて撮影する。キシタポント着8:30、キシタはすぐには現れないだろうと判断、例の白い花をじっくり見ていく。カノコガの仲間が3種類来ているのに気が付く。うち1種がド派手!(帰国後ネットで検索すれば、ベニハラカノコガと出ていた)静止画、動画とも時間をかけて撮影する。
![]() |
超ド派手なカノコガの仲間 |
ふと見上げれば、すでにキシタが飛んでるではないか!時刻は8:50。例の貧相クサギの前に陣取り、キシタの飛来を待つ。まずやってきたのはルリモンアゲハ♀、昨日以前と同一個体かどうかは分からない。今日もヤエヤマイチモンジやタイワンアサギマダラが活動しているが、撮影意欲が湧いてこない。9:30ついにキシタが飛来する。ファインダー越しに見ていても、たいへん新鮮なのが良く分かる。頸の赤襟も鮮やか、黄色基調の腹のまだら模様も印象的だ!しかし蜜を吸っている時間は短く、10秒と続かない。訪花吸蜜シーンの撮影においては一にも二にも素早さが求められる。以降30分から1時間おきに吸蜜にやってきた。やって来たまでは良いが蜜を吸ったの一瞬、1秒もない場合もあった。キシタアゲハの活動をじっくり観察していて気が付いたのは、活動の中心は、上空をパトロールしながら同種のメスを探すこと、オスや他の種(例えばオオゴマダラやルリマダラ、リュウキュウアサギマダラなど)は後方から追尾し追い払うことだ。木々の中の空間をときに羽ばたき、ときに滑空しながら通過する姿は実に壮観。疲れる(?)と高所の葉にとまり休息しているように見えるが、数分すると飛び立ち、パトロールに戻る。午後2:45までに飛来した回数はちょうど10回、うち4~5回の吸蜜時間は数秒、残りは一瞬の吸蜜であった。残念ながらこのポイントでは一度もメスは現れず。雲が厚くなりはじめた午後3時、すべての撮影を終了し、帰途に就く。バス停でバスを待っていると、1台のワゴン車が停車、運転手に聞いてみると、これも路線バスとのこと。一時間後とばかり思っていたので、“ラッキー”、ホテル近くのバス停まで10元(45円)と格安であった。4日間の撮影の疲れもあって、今日は外へ食べに出ることなく、コンビニ弁当で済ませ、体力の回復に努めた。
3/4 (晴れ)
遠征最終日、今日は移動のみ。朝8:15のバスで高雄に向かう。
![]() |
バス停はこんな感じだ |
これまで書き漏らしてきたが、バス停近くの草むらでチラチラ舞うシジミはすべてカクモンシジミだ。本来なら時間をかけて撮影するところだが、他に目的があると、ついついおざなりになってしまう。贅沢と言えば実に贅沢な対応だと自分でも思ってしまう。高雄に向かうバス、行きと違って3列シートの本格的な長距離バスだ。運転手も行きとちがって丁寧な運転だ。バスに関して気になることがある。それは、ボロバス、きれいバスに関わらず、方向指示機(いわゆるウインカー)を作動させる際、ピコピコ音が車内に鳴り響いてしまう。最初は何の音かといぶかっていたが、これがウインカーの音だったわけだ。乗客に知らせる必要があるとは思えず、いくら考えても理由は分からずじまい。午前10:30高雄市の中心部:左営に到着。桃園空港から那覇に飛ぶ友人と別れ、ひとりMRTに乗り換え、高雄空港に向かう。空港着11:15、14:45の出発までたっぷり時間があり、日本から持ってきていた分厚い文庫本を読んで時間をつぶす。搭乗手続き、手荷物検査、出国手続き、とゆるゆるこなす。時刻通りの離陸、1時間の時差を修正、関西空港着18:30、ターンテーブルから預けた荷物が出て来ずイライラ、予定していた時間より30分遅れ、19:30JR関空快速に乗り込む。自宅着22:15、今回の遠征スケジュールはすべて終了。
![]() |
飛行機の窓から高雄港方面を望む |