◆2005年フィールド日誌


12月25日(快晴) この一週間はとても寒く、小雪が舞う日も数日あった。暖かい当地でこれほど寒さが続いたのはあまり記憶がない。 まず先週のモンシロ幼虫を確認に出かける。さすがにこの寒さに耐えられず、黒く死んでいる幼虫が多い。ざっと見た感じでは半数以上減。残った幼虫のうち、直射日光を浴びて体温が上がったためか活発に活動しているものもいる。 アラカシの葉の裏に越冬中のウラギンシジミ♀を見る。そういえば昨年も、一昨年も、この樹のこのあたりの枝で冬を越していた。越冬する位置は行き当たりばったりではなく、ある程度決まっているのかもしれない。〔東播磨地方〕

12月18日(晴れ) 一年に一度あるかないかぐらいの厳しい寒さ。時々雪がチラつく。20km北に見える播磨北部の山々も真っ白。 いつものお気に入りのコースを巡る。さすがに活動しているチョウは見かけない。 キャベツの葉にとまるモンシロ幼虫を見る。地面には薄っすら雪が解けずに残っているところをみると気温はわずかに0度を上回っている程度。こんな寒さの中でも、ゆっくりではあるが活動している。当地ではベニシジミに同じく、幼虫で成長しながら冬を越す場合がある。〔東播磨地方〕

12月10日(晴れ) 弱い冬型の気圧配置でやや寒い。 早朝から「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で、ヒメカンアオイ自生地の雑木林の手入れ、枝払いに参加する。初冬のピリッとした空気のなか、落ち葉を踏みしめ、皆でわいわいと片付けていくことは楽しい。 2時間半の作業で雑木林は見違えるほど綺麗になる。 風が強い中、午後からフィールドを廻る。ここ数日気温が低かったため、どの種も一気に姿を消している。ヤマト、ウラナミ、モンキ、モンシロなど唯の1頭も見かけず。わずかにアラカシの葉にとまり翅を広げるウラギンシジミ♀を見る。〔東播磨地方〕

12月3日(晴れ) 出張先から朝帰り。冬型の気圧配置でやや肌寒いがそれでもすがすがしい秋空が広がる。 午前10時、フィールドに出る。南向きの雑木林の縁の定点観察ポイントを廻る。 コセンダングサの花にウラナミシジミが多い。オオボロ個体が大半、でもなかにはマシなものも残っている。 ヤマトは数を大きく減らしているものの、オスは元気に飛び廻っている。ときにはウラナミと縺れ合う。なかに黒っぽい個体が混じっていたため、追い掛け回しやっと正体を確認。結果はヤマトのオスで、翅表は普通なのに、翅裏がムラサキシジミ並に褐色の低温期型と判明した。 モンキチョウのオスの飛翔を見る。 コセンダングサの実につかまり風を避けるキチョウを見る。 チャバネセセリは見かけず。 場所を移動する。 10日前と同じところでムラサキシジミ♀の開翅を見る。何かに反応し緊張するとすぐ翅を閉じるが、しばらくするとゆっくり翅を広げる。陽の当る角度によって紫色の耀きが微妙に変化するのが良く分る。 ウラギンシジミ♂が突然飛来し、頭の上のクヌギの葉で休む。綺麗に紅葉した葉の黄色と翅表の橙色が混ざり合い、微妙なコントラストを見せる。 畑のブロッコリーの葉で休むモンシロを見る。モンシロが飛ぶのもあと数日か。 ツマグロヒョウモン♂の飛翔を見る。 ベニシジミは見かけず。〔東播磨地方〕

11月27日(晴れ時々曇り) ここのところ好天が続く。 残念ながら昨日は終日仕事。 本日も多忙。午前中に所用をこなし、午後から日本チョウ類保全ネットワーク関連打ち合わせに参加する。

11月23日(晴れ) 早朝から晩秋らしい青空が広がる。 所用をこなし午後からフィールドに出る。 気温は15℃くらいまで上昇、晩秋のチョウたちは活発に活動している。 ヤマトシジミは多いが新鮮な個体はいなくなっている。 ウラナミシジミもすべて破損個体。コセンダングサの残り花で吸蜜する。 チャバネセセリも大きく数を減らしている。吸蜜花はキツネノマゴ。 明るい場所とやや薄暗い林の境目にキチョウが多い。 日当りの良いアラカシの葉でムラサキシジミが盛んに翅を広げる。周囲をよく見れば数頭がアラカシの樹の周りを飛び廻っている。 クヌギの葉の上で日光浴をする新鮮なルリタテハを見る。 今日見かけたツマグロヒョウモンはオスばかり、しかもボロばかり。さすがにこの種も数を減らしてきた。 モンシロ、モンキを見る。〔東播磨地方〕 

11月19日(曇り時々晴れ) 時々青空がのぞくが、北寄りの風が強く少々肌寒い。でも湿度は低くカラッとしていて気分は爽やか。 北風の当らない南向きの斜面の畑を歩く。 ヤマトシジミの発生のピークはようやく過ぎた模様。見かける数が減っている。 キチョウ、モンキチョウは元気に飛び回っている。 ウラナミシジミはまだ多い。 ツマグロヒョウモンも少なくなってきている。元気なく日光浴するオス、畑の周囲を弱弱しく飛ぶメスを見る。 モンシロチョウ♀の産卵を見る。ダイコンの葉の表に産み付けた。モンシロと言えどもこの時期は敏感で近寄って撮影できない。 植栽の菊の花に多くの虫が集まっている。ハエの仲間が圧倒的に多い。チョウで来ていたのは、チャバネセセリ、モンシロ、キチョウ、アカタテハ。 アラカシの樹冠を飛ぶムラサキシジミを見る。〔東播磨地方〕

11月13日(晴れのち曇り) 2年振りに別宅の外壁塗装のため但馬に向かう。築13年ともなると傷みが目立つ。今年は屋根を葺き替えているため、塗装完了後は見違えるほど立派に見える。 但馬の高原ではウラナミシジミが多い。キク科の花で吸蜜したり、翅を広げ日光浴を繰り返す。 ベニシジミ多い。ボロから新鮮まで幅広く見かける。 路上で開翅するのはキタテハ。そのキタテハを執拗に追い続けるベニシジミを見る。時間にして数十秒、追尾空間は幅20m高さ5mくらいか。初めてみる光景である。 キチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、アカタテハ、ツマグロヒョウモンを見る。 国道沿いのコンビニのタバコの自販機のしたでウスタビガ♂を見る。〔但馬地方〕

11月12日(晴れ) 昨日の雨が嘘のように早朝から秋空が広がる。 「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で、生息地のど真ん中に位置する集落の皆さんを対象にした、ギフチョウの生態を紹介する会に参加する。皆さんの関心も深まり、こういった広報活動も有意義であると感じる。 明るい土手にヤマトシジミが群れ飛ぶ。カタバミで蜜を吸ったり、下草にとまり盛んに翅を広げる。 ベニシジミやツマグロヒョウモンも活発に活動している。 コセンダングサの花で吸蜜するウラナミシジミが多い。ボロから新鮮までさまざま。 キツネノマゴの花で吸蜜するのはチャバネセセリ。どれもこれもスレているが数は多い。 畑のブロッコリーの苗に産卵するモンシロチョウを見る。 竹やぶの周辺にはキチョウが多い。 明るい池の土手ではヒメアカタテハやモンキチョウが多い。〔東播磨地方〕

11月5日(快晴) 天気予報では快晴の一日。でも朝のうちはモヤが立ち込めている。 ヒサマツミドリ採卵及び調査のため、友人と早朝から但馬に向かう。現地着9時、ようやくモヤが晴れてくる。 食樹であるウラジロガシの自生状況、成虫が集まってくる場所等日頃の体験値、それに位置、標高、方位などの条件を加え、目星を付けたウラジロガシの樹を廻る。大別にて4箇所、計50本以上のウラジロガシを8時間かけて調べる。結果は、卵が確認できたのは2箇所、食樹の本数はわずかに3本、総数16卵であった。 但馬は今が紅葉の真っ盛り。色付き始めた渓谷のブナ林を歩くと心がリフレッシュするのが良く解る。*ヒサマツミドリ産卵樹の自生状況、産卵場所の標高、産卵位置の高さ、方位、産卵芽の状況などデータを採取しましたので、気分が乗れば「フィールド観察ノート」コーナーで紹介します。〔但馬地方〕

10月30日(晴れ) 早朝から爽やかな秋空が広がる。 午後からフィールドに出る。花公園のコスモスの開花は終盤。全般的に見かけるチョウの数は減ってきているが、ツマグロヒョウモン♂の破損個体は依然として多い。 コスモス畑を活発に飛ぶのはヒメアカタテハ。 マリーゴールドの花に吸蜜に来ていたのはイチモンジセセリ。 チャバネセセリとともに鱗粉が剥げ落ちていても活発に飛び廻っている。 ミセバヤの花で吸蜜するヤマトシジミを撮影する。 外来種のアメジストセージの花で吸蜜するアカタテハを時間をかけて撮影する。 翅表のブルーが大きいヤマトシジミ♀を見る。一般的に低温になるとブルーの面積比率が大きくなるが、今日の個体はオスとあまりかわらないくらいであった。 ウラナミシジミの活発な飛翔を見る。 やや暗いところではキチョウが多い。 モンシロ、モンキ、ベニシジミを見る。〔東播磨地方〕

10月23日(曇りのち午後から時々晴れ、山間部は一時雨) 午後からフィールドに出る。お気に入りクロツポイントへ。本来ならこの時期、ツメレンゲは満開のはずなのに・・・残念でした。 気温も低く雲も厚いため、見かけるチョウはいない。〔播磨各地〕

10月22日(晴れ時々曇り:室戸岬) 2年ぶりの高知・室戸岬遠征。朝6時自宅発、途中、淡路島中央部を走行中に通り雨に遭う。 10時過ぎ現地着。 気温は20℃を超えたところか。晴れ間は広がっているが風が強く、ひんやりとした感じ。 一昨年に比べチョウの姿は少ない。 それでもこの時期は南へ旅立ち途中の多くのアサギマダラが集まっている。ヒヨドリバナやノハラアザミ、セイタカアワダチソウで盛んに蜜を吸っている。動きは緩慢でゆったりと青空に舞っていることも多い。マーキング個体を1頭確認する。 ムラサキツバメを多数見かける。食樹のシリブカガシから突然飛び出し、開翅することなく、下草やアカメガシワの幼木の葉の上でやすむ。翅裏から確認する限りではそれほど破損していない個体が多い。 草原を歩くと下草で静止していたサツマシジミが飛び出す。一旦飛び立つとなかなかとまらない。やっととまったかと思っても人の気配に敏感で1m以内には近寄らせてくれない。何度も訪れるシャッターチャンスを活かせず、ことごとく撮影失敗!そのうちにこちらも意地になってくる。やっとこさ、ヒヨドリバナで吸蜜する個体を撮影する。他のシジミに同じく、吸蜜中は触角を大きく下げている。午後から活発に飛び廻る個体が増えてくるが、樹冠を飛び廻るばかりで下に降りて来ない。樹冠を飛ぶ姿はウラクロ♂によく似ている。 ヤクシマルリシジミも2年前に比べて極端に少ない。セイタカアワダチソウで吸蜜する個体をポツポツと見かけるのみ。翅を開いて日向ぼっこ中のメスに求愛するオスを見る。これまた、他のシジミに同じく、後方から迫り翅を小刻みに震わせながら執拗に迫る。メスが飛び立つと直ちに後を追う。 イシガケチョウは多い。吸蜜花はヒヨドリバナとセイタカアワダチソウ。吸蜜中も静止中もこの種はいつも翅を広げてとまっている。 ウラナミシジミ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ多い。いずれもセイタカアワダチソウで盛んに蜜を吸う。 その他、本日の確認種は、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、アカタテハ、ムラサキシジミ、ヤマトシジミ。〔高知県室戸岬〕

10月16日(晴れ時々曇り) 天気予報では朝から快晴のはずなのに、窓を開ければ空には大きく雲が広がっている。しかも風がある。 朝8時からフィールドに出る。まずはシルビアの撮影から。風があるため、下草の乾きが早く、8時半には飛び廻る個体が現れる。オス・メスともスレが多い。撮影のため新鮮なヤツを探すがなかなか見つからない。ようやく見つけたオスが運良く、ヒヨドリバナにとまりV字開翅しながら吸蜜を始めてくれた。 アカタテハは下草にとまり翅を広げている。 雑木林の縁の小道にヤマトシジミが群れている。4頭、5頭、時にはウラナミシジミも加わり、盛んに追い駆けあう。たまたまメスが飛び立つと大混乱になる。下草にとまり翅を広げ日向ぼっこしている個体も多い。翅表に朝日が当ると、薄水色がかった銀白色に耀く。 咲き始めたアキノキリンソウやセイタカアワダチソウにセセリが集まっている。イチモンジかチャバネであろう。 スレのキマダラセセリを見る。 撮影地を移動する。 田のあぜにシルビア♂を見る。個人的には新たな生息地の発見である。 池の土手の萩の花で吸蜜するウラナミシジミを見る。風が吹く中、活発に飛び廻り、次から次にとせわしなく蜜を吸っていく。一箇所での吸蜜時間は10秒くらいか、1シーンにシャッターは1回か2回しか押せない。 同じ萩の花ではツバメシジミも飛んでいる。 セイタカアワダチソウで吸蜜するメスグロヒョウモン♀を見る。翅縁は前も後ろも擦り切れている。 秋型キタテハを見るが敏感で近寄れない。 竹林の中ではキチョウが多い。今が秋型発生のピークか。 撮影地を移動する。 ここでもメスグロヒョウモン♀を見る。こちらは比較的破損していない。 驚かさないようゆっくりした動きで10分程度追いまわす。植栽のソメイヨシノの幹に止まったかと思うと、翅を閉じ、突然腹を折り曲げ産卵する仕草を見せる。地面から高さは約1m、本当に産卵したかは確認出来ず。さらに他の幹に移り、同じように腹を折り曲げる。こちらの高さは約50cm、1分程度同じポーズをとっていたのでたぶん産卵したのであろう。飛翔を狙うが失敗。 新鮮なヒメアカタテハを見る。 セイタカアワダチソウで吸蜜するモンシロを見る。 各地でツマグロヒョウモンを見かける。〔東播磨地方〕

10月9日(晴れ) 体調&天気とも久しぶりに万全な休日。早朝から爽やかな秋の空が広がる。 朝8時から自宅の周りを散歩。日陰の溝端のクスの幼木にアオスジアゲハの終齢幼虫を見る。樹高50cmの小さな木に計4頭が育っている。羽化できずに蛹の殻だけ残る個体も2頭見つける。 河川敷の土手に咲くヒガンバナで吸蜜するチャバネセセリ、ナミアゲハを見る。 一旦帰宅、所用をこなし、午後から再びフィールドに出る。 花公園で大勢の行楽客に混じって撮影する。満開のコスモスに多くのツマグロヒョウモン、ヒメアカタテハが群れている。 紫色の外来種の植栽の花に集まるイチモンジセセリ、チャバネセセリを撮影する。青空背景を目一杯、おまけに太陽まで入れ、究極の逆光下、ストロボを使うとなかなか面白く写せる。 メスグロヒョウモン♀の吸蜜、それに続く緩やかな飛翔を見る。 ホウジャクの青空バックの撮影も楽しい。 ウラジンシジミやウラナミシジミ、ヤマトシジミも今が盛りと活動している。 撮影地を変える。 農業用ため池の法面に咲くヒヨドリバナで吸蜜するメスグロヒョウモン♀を見る。翅表の黒はやや色があせているものの、秋を感じさせるひとコマである。 栗林の中で休むウラギンシジミ♀の秋型を見る。別の場所ではサルトリイバラの葉の裏で2頭仲良く並んでやすんでいるのを見る。 キタテハ秋型は飛び廻り撮影チャンスは無し。 キチョウ秋型が多い。 ヒヨドリバナで吸蜜するウラギンスジヒョウモン♀を見る。今年初めてのシャッターチャンス!後翅外縁はやや欠けているものの、前翅表の先端の白紋はくっきりの大型個体。滑空飛翔する姿にはほれぼれする。一つの個体を追い掛け回し、望遠・広角と使い分け、さまざまな角度で撮影する。〔東播磨地方〕 

10月2日(曇り時々雨) 所用をこなした後の午後2時半からフィールドに出る。ドンヨリした曇り空、そのうちにパラパラと雨が落ちてくる。 一週間前に多くのメスグロヒョウモンが集まっていたサワヒヨドリの群落には、今日は1頭しか吸蜜に来ていない。この天気では仕方がない。 雨が強くなる。 葉の裏で休むツマグロヒョウモン♀を見る。圧倒的な光不足の中、手持ちで撮影するがブレ写真ばかり。 雨が上がるとヤマトシジミが活発に活動する。 田やアズキ畑にヒメジャノメが多い。 サワヒヨドリの花にとまるビロードハマキ(蛾)を見る。〔東播磨地方〕

9月25日(曇りのち晴れ) 午前中に所用をこなし午後から西播磨に向かう。 分厚い雲と晴れ間が交互にやってくる。 どこもヒガンバナが満開。 渓谷沿いのノハラアザミにはチョウがいない。例年この時期、多くのヒョウモンが吸蜜しているはずなのに今日は1頭もいない。 休耕田のサワヒヨドリにメスグロヒョウモン♂とキタテハ、ミゾソバにアオスジアゲハに吸蜜を見る。 ヒガンバナで吸蜜するアゲハを狙い車を走らせる。 まず登場したのはモンキアゲハ♀。メスらしい緩やかで優雅な飛翔を楽しむ。 次はクロアゲハ。背後を猛スピードで走る黄緑のイプサムに驚きアッと言う間に飛び去る。1カットのみの撮影、腹が立つ。 日当りの良いところではミヤマカラス♂が蜜を吸っている。残念ながら大破個体。 岡山県境近くですばらしい棚田を見つける。大きく青空が広がり、稲刈りの済んだ棚田が逆光に映え、すばらしい景観。すがすがしい秋の風が吹きぬけ、あぜに咲くヒガンバナにはナミアゲハ、キアゲハが舞っている。思わず見も心もリフレッシュ!しかも、更にシルビアを発見。新たな生息地の確認である。 田の奥の林の中でヤマキマダラヒカゲ、ヒメジャノメを見る。 各地でウラギンシジミを見る。〔西播磨地方〕  

9月23日(晴れ時々曇り) 湿度が高く、暑く、不快指数は急上昇。 小学校の校庭裏の草地にヤマトシジミが多い。タカバミは食痕だらけだが、いざ幼虫を探そうとすると、これがなかなかどうして難しい。交尾ペアを見る。 新鮮のベニシジミ♀を見る。高温時期の発生個体の特徴である翅表の黒部分は広いが、陽の当る角度によって、紫色に耀く。 フェンスに巻きついているヤブカラシの花にアオスジアゲハが吸蜜にやってくる。例によって小刻みにホバリングしながら次々と花を移って行く。吸蜜から突然、求愛飛翔になり絶好のシャッターチャンスが到来、しかし背景にこだわっているうちにチャンスは逃げていった。クスノキの幼木の葉の裏に同種の幼虫を見る。 ランタナの大きな花株にツマグロヒョウモン、キアゲハ、イチモンジセセリが集まる。 新鮮なヒメアカタテハの産卵を見る。 郊外に移動。雑木林の縁のヒヨドリバナ、サワヒヨドリに多くのヒョウモンが集まる。ついに目を覚ましたメスグロヒョウモン、でもオスばかり。数十mの幅に約40頭、すばらしい光景である。すべてスレ個体、6月に見られるような色の濃いものは1頭もいない。時間をかけて撮影する。 ヒヨドリバナで吸蜜する新鮮な秋型キタテハを見る。〔東播磨地方〕

9月18日(晴れ時々曇り) ようやく体調回復、撮影に対する気力も上がってくる。 東播磨を北から南まで各地を廻る。 最深部の高原ではススキの海が広がっている。しかしながらチョウは何もいない。数年前、大量にあったアザミが見当たらない。これでは大型ヒョウモンがいないのもうなずける。わずかにツマグロキチョウの吸水を見るのみ。 標高をおとし、今が稲刈りの真っ最中の集落の中で撮影する。コスモスの花壇にヒメアカタテハ3頭、ツマグロヒョウモン2頭、アゲハチョウ1頭、モンキチョウ1頭、モンシロ1頭を見る。ヒメアカはどれも新鮮。生息環境を背景にした広角から、背景をとことんまでぼかした望遠まで、各種撮影を試みる。 撮影地を移動し、一ヶ月前のクロツポイントへ。一ヶ月前に比べて明らかに数を増している。新鮮からボロまでさまざま。ヤマトも混じり、狭い斜面に小さなシジミが乱舞している。クロツの吸蜜花として今日確認したのは、キツネノマゴ、ニガナ、カタバミ。 求愛行動を多数目撃。一例をあげれば、カタバミで吸蜜中のメスに気が付いたオスが下方から接近、メスのすぐ下で20度くらいに翅を開いた状態で小刻みに翅を震わせる。メスに交尾の気配がなくても腹を大きく曲げながら繋がろうと試みる。極めて強引な迫り方である。嫌気が差したメスが飛び立って逃げると、オスもそれに合わせどこまでも追跡していく・・・、これを二度三度繰り返す。 求愛から交尾拒否行動を見ていると、オスが生息地の斜面を低く飛び続けているのは明らかにメスを探しているということが良く解る。 また、一ヶ月前は石の上にはとまらなかったが、今日は石の上ばかりにとまる。たぶん石の表面の温度が低いためだろう。静止中は必ずV字に翅を開く。 車で移動中に大きな白い紋を付けたナガサキメスの緩やかな飛翔を見る。〔播磨地方各地〕

9月17日(曇り時々小雨) 体調が悪い中、所用をこなしたあと、朦朧とした頭で午後3時からフィールドに出る。 友人からの依頼で各地のシルビア生息地を廻る。 すでに活動時間を過ぎているため、下草にとまっているのを根気良く探していく。 以前に記述した通り、当地においては4年5年と連続して多く発生をみる生息地はない。2、3年置きに発生の多い少ないを繰り返しているようだ。時にはまったく姿を消してしまうポイントもある。 環境の変化、その年の気候、寄生蜂の有無、などが微妙に影響しあっているのであろう。興味は尽きない。 4箇所探索で計4頭を確認する。〔東播磨地方〕

9月11日(曇り) 所用をこなし、午後1時半からフィールドに出る。久しぶりに花公園に向かう。 細長いトウワタの花壇にナミアゲハ、キアゲハ、ツマグロヒョウモンが集まる。ナミアゲハはオス・メスとも吸蜜に忙しいが、時には求愛行動を見せる。 アゲハ類の飛翔撮影を試みるが、なかなかうまくいかない。特に望遠では被写体深度が浅く、スカッとピントが合わない。 このトウワタの花には、ヒメアカタテハ、イチモンジセセリも来ていた。珍しいところではウラギンシジミ。「ヘェ〜、こんな花にも来るンや・・」といったところ。 外来のシソ科の小さな花にツマグロヒョウモンが群がっている。1m四方の花壇に18頭を数える。 クロアゲハ、ナガサキアゲハ、アオスジアゲハ、モンシロを見る。〔東播磨地方〕

9月10日(曇り) 2週間ぶりにカメラを持ってフィールドに出る。 気温が高く、蒸し暑く、活動するチョウは少ない。 明るい土手のキツネノマゴの群落に多くの虫が吸蜜に集まっている。もっとも多いの胴の長いハナバチ。 チョウでやってきていたのは、キチョウ、イチモンジセセリ、キマダラセセリ、ツマグロヒョウモン、ツバメシジミ、ヤマトシジミといったところ。 ヤマトシジミの交尾を見る。 アラカシの切り株から出たヒコバエの周囲をムラサキシジミ♀が活動する。 100m離れた畑の土手でシルビアシジミを見る。ヤマトシジミと混飛していても、しばらくすれば違いが判るようになる。シルビア♂は基本的にとまらず、延々と地表近くを飛び続けるのに対してヤマトは飛んでいても数分後には必ずとまる。また、ヤマトに比べ若干小さく、青色が濃い。 シルビア♀の産卵を見る。草むらの中を縫うように飛び、ミヤコグサを探していく。ミヤコグサにたどり着けば、まず葉の上にとまりしばらく静止、数秒後せわしなく動き出したかと思うと腹を曲げ、頂葉かそれに近いところの葉の表に1個産み付ける。産んだ後は長く留まることなく飛び立ち次のミヤコグサを探しに移動する。一連の行動時間は20秒から30秒といったところ。産み付けられたは卵とても小さく扁平な饅頭型。また、色はミヤコグサの葉の緑と同色で極めて見つけ難い。 民家の庭先の花壇にツマグロヒョウモンが約10頭、クロアゲハ1頭、イチモンジセセリが無数に集まっている。 休耕田ではキアゲハが活発に飛び回っている。ここに生えるセリで発生しているのであろう。 本日の狙いはウラギンスジヒョウモン、メスグロヒョウモンであったがまだ熟睡しておられる様子。〔東播磨地方〕

9月4日(曇り一時雨) 早朝からチョウ観察・撮影とは別の目的でフィールドに出る。 雑木林の中の空地にナミジャノメが多い。見かける個体のほとんどが欠けメス。それでも活発に飛び回っている。 ルリタテハの飛翔を見る。占有行動中らしく、飛び立ってもすぐに戻ってくる。 クロアゲハの飛翔を見る。〔東播磨地方〕

8月28日(曇り、一時にわか雨) 雲に遮られ陽射しは強くないが、湿度が高く、とても蒸し暑い。 9時から近場を廻る。 今日の目的はカメラの試し撮り。今まで使っていなかったカメラの機能を確認する。 雑木林の縁の畑の植栽で吸蜜するキマダラセセリを見る。 ミカンの樹の周囲を緩やかに飛ぶナガサキアゲハ♂を見る。メスを探しているのだろうか? アラカシからムラサキシジミが飛び出す。右前翅先端は破損していたが、それ以外はとても綺麗な紫色。気温が高い中、翅表を披露してくれた。 ヒャクニチソウの花壇に多くのイチモンジセセリとチャバネセセリが集まる。ざっと数えたところ両種合わせて50頭は越えていた。 花の下に不自然にぶら下がったチャバネセセリを発見。よく見れば、花に潜んでいたハナグモに捕らえられた姿である。吸蜜中の個体とクモに捕らえられた個体、花の上と下での“生と死”を表現してみようと粘って撮影する。 ISO400や800でのノイズの入り具合の確認、連写の表現力、ピンポイント測光など、試し撮る。〔東播磨地方〕

8月27日(晴れ) 朝から今日も暑い。 西播磨の撮影ポイントを廻る。 渓谷沿いの道脇にはセセリの仲間が多い。 キマダラセセリ♂のテリ張りを見る。一旦飛び立てば、目で追うのも難しいほどの速さ&個体の小ささである。チョウ愛好家以外の方の目にはオレンジ色の2頭の“ハエ”が縦に横にと飛び廻っているとしか映らないであろう。 イチモンジセセリは新鮮。これから3ヶ月がこの種の本番である。 キツネノマゴの小さな花で吸蜜するチャバネセセリを見る。 ヒメキマダラセセリはかなりスレている。 コミスジが多い。オスもメスも、新鮮もボロも、さまざまなステージの成虫を見かける。 ミミズの死体の汁を吸うウラギンシジミ♂を見る。小さめのオスで少々くたびれていた。 湧き水で吸水していたのはミヤマカラスアゲハ♂。翅裏は冴えないが、翅表の緑の耀きはなかなかのものである。飛翔撮影を試みるが失敗。 撮影地を移動する。春5月、ジャコウアゲハが群れていた斜面には、ただの1頭も見かけない。生息地がものの見事に、綺麗サッパリと草刈されているためかもしれない。 さらに移動する。 明るい栗林にサトキマダラヒカゲを見る。この場所では、昨年一昨年とキマダラモドキを見かけたが、今シーズンは1頭も見かけず。 ナラガシワの林の下ではジャノメチョウの仲間が多い。一番多いのがヒカゲチョウ、続いてサトキマダラヒカゲ、ジャノメチョウ、数は少ないがコジャノメ、ヒメウラナミジャノメも確認する。〔西播磨地方〕

8月20日(曇り時々晴れ、一時雨) 兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会の活動の一環で幼虫調査を行なう。高原ではもう秋の気配が漂っている。曇りや晴れ、時々やってくる通り雨、と天候が目まぐるしく変化するなか、守る会メンバーが手分けして調査を行なう。 個人的には今日のもうひとつの目的として、ミヤマチャバネセセリの撮影を目論んでいた。発生末期とは知りつつ、ここ数年撮影していないため、気合が入る。ウスイロモドキ幼虫調査終了後、運良く発見!ボロ・スレ・カケと三拍子揃っているが、堂々とした大型のメスを見つける。オオチャバネとメスと同じくらいか、むしろまだ大きいくらいの個体である。後翅内側の白点もはっきり判る。カメラを構え、さあこれからと思ったところ、突然の通り雨。カメラの濡れが気にかかり、またレンズにも容赦なく水滴がかかるため止む無く撮影を中断する。被写体自体もススキの葉の上で翅を閉じじっとしている。こちらもしばし休憩。10数分後、雨が上がり陽が指し始めると、すぐに翅を広げる。チョウ自体の動きは鈍く、1頭の被写体にて大撮影大会となる。 高原を吹く風に流されまいと必至で飛ぶミヤマカラスアゲハ♀を見る。草原を歩くとあちこちからジャノメチョウが飛び出す。 シシウドの葉にキアゲハ幼虫を見る。 ハギの花で吸蜜するのはルリシジミ。 ムラサキシジミ、ヒメアカタテハ、オオウラギンスジヒョウモン、イチモンジセセリ、イチモンジチョウを見る。〔但馬地方〕

8月18日(晴れ) 今日も暑い!長野県の高標高地とは10℃以上の温度差にうんざり。 最も気温が高い午後1時からフィールドに出る。 播磨某所にクロツを見に行く。詳しい報告は出来ないが、ここはすばらしい生息地!個体数の多さ、ツメレンゲの密度、撮影のし易さ、など申し分なし。新鮮からボロまでいろいろいるのも良い。観察していて気が付いたのは、石の上や苔の上、ツメンレンゲにも決してとまらない。とまるのは、カタバミやシダなど緑色の柔らかい葉の上ばかりである。たぶん色が黒いと表面温度が高く、クロツの脚先も熱く、これを嫌っているのであろう。それともうひとつ、活発に飛び回っていても、決して生息地の斜面を離れない、フラットの場所には出てこないことである。なかなか興味深い。キツネノマゴの小さな薄紫の花での吸蜜を確認。 撮影地を移動する。カラスザンショウの花に多くのセセリが集まっているが、距離があるため種の同定は出来ず。同じ花にアカタテハ、クロアゲハ2頭が吸蜜にやって着ていた。〔播磨地方〕

8月16日(晴れ:長野県) 早朝、友人と待ち合わせ、恒例の夏の撮影コースを巡る。 深い森の中の林道は昨年の台風の爪あとが残り、あちこちで流失してしまっている。補修もままならないのか、荒れたまま放置されている。いつもはもっと上流まで車で上がれるのに、今年ははるか手前で降りざるを得ない。車を降りたとたん、2頭のキベリの出迎えを受ける。渓谷の陽だまりの中、優雅に滑空を繰り広げる。あ〜、この光景こそ信州、はるばるやってきたカイがあったというものだ! ハンノキの葉にとまるボロのウラゴマダラ♀を見る。兵庫県の低地から遅れること2ヶ月。 野生のスモモ(?)の樹の周りを飛ぶオオミスジ♀を見る。新鮮からボロまで幅広く見かける。 ミスジ♀を見る。兵庫県内では発生数が少なく、しかもかなり山の中に入らないと見かけない。たとえ見かけても無茶苦茶敏感で、未だに絶好のシャッターチャンスというものに出くわしたことがない。でもここでは普通種のようだ。 オトコエシの花で吸蜜するスジボソヤマキ♂を見る。新鮮。特徴ある色彩、大きさ、飛び方、で遠くからでも本種とすぐ判る。これも普通に見かける。 近縁のヤマキには出遭わず。 林道わきの薄暗い下草でエゾスジグロシロ♂の求愛行動&メスの交尾拒否行動を見る。 陽だまりに張り出したヒノキの枝先にとまるウラギンヒョウモン♀を見る。 林道の薄暗いところにはクロヒカゲが多い。 ゴイシシジミがパラパラと飛び出すが、昨年に比べると数が少ない。 明るい林道の下草にボロのヒメシジミを見る。この時期、どれもこれもスレ、ボロばかり。 切通しの崖にヒオドシを見る。 ヤナギの樹幹を滑空する薄茶色のタテハをみるが、翅が透けてやけに白っぽいたため、コムラサキだと気が付くのに一呼吸かかってしまう。兵庫県内ではここまでスレてしまった個体を見たことがない。 明るい崖の周辺に生えるウダイカンバにエルタテハを見る。ヒオドシよりひとまわり小さく、どことなく気品がある。標高が上がるにつれ、いたるところの崖で見かけるようになる。吸蜜花はリョウブ。この花には他に、ミドリヒョウモン、ヒメキマダラヒカゲ、クジャク、無数のカミキリなどの甲虫、ハチ、アブなどが群れていた。 同じような崖に、ルリタテハ、シータテハやキベリなども多く、これらが一度に出現すると、被写体としてどれを選ぶか迷ってしまう。キベリやエルは汗の匂いに誘われるらしく、撮影中に纏わりつかれてしまうこともあり。 林道の終点から沢に入り、さらに上部を目指す。ようやくオオゴマに出遭う。すでに盛期は過ぎているもよう。スレ・カケ数頭がクガイソウ(花穂の先端の最後の花弁)や高地性アザミで吸蜜する。きわめて鈍感、先日のゴマとは大違い!指でも簡単に摘めそう。葉の上で休むときは、きまって翅を広げてくれる。しばらく観察していて、吸蜜中の個体が何を嫌うのかが判った。それは、同じ花にやって来るハチやアブの類であり、吸蜜中のポジション取りでしばしば争いが起こり、その結果、負けるのはほとんどがオオゴマの方なのである。このポイントで約1時間、撮影・観察と至福のときを過ごす。 ヨツバヒヨドリで吸蜜するコヒョウモン、サカハチ、オオチャバネ、カラスシジミ、アサギマダラを見る。 下山路はもっぱら飛翔撮影に費やす。ターゲットはアサギマダラ、キベリ、エル、スジボソヤマキ、オオゴマなど。アサギ、キベリは成功、他は失敗。 畑の脇の獣糞置き場にタテハが集まる。ルリ、アカ、クジャクなどである。民家のそばの明るい小道を飛ぶキベリを見る。  昨日に続き、ムモンアカの撮影に向かう。リョウブの花で吸蜜するボロ2頭を見る。発生木のコナラの葉の上では今日も交尾ペアがいる。しかも2ペア。 その他にも樹冠をチラチラ舞っている個体もいる。薄暗い、とうよりは真っ暗な林床のウドの花で吸蜜する個体を発見!驚かさないように慎重に近寄る。幸いにも逃げるそぶりは見せない。残念なことに被写体が葉陰に隠れ、ストレートには狙えない。しかも足場は悪く、圧倒的な光量不足であるため、シャッタースピードは1/30sec(f=2.8)。左手でウドの葉を手繰り寄せ、右手を突き出し、腕一本で撮影する。しばらくこんな姿勢を続けていると、右手がカメラの重みに耐えかね震えてくる始末。当然のことながら、ブレとピンボケの山。ストロボを使っても結果は同じ。10回シャッターを押すと撮影を中断し、今しがた写した画像のチェック。こんなことを3回、4回と繰り返し、ようやく1カットまともに写ってくれた。飛翔撮影より効率の悪い、忍耐の撮影である。 悪戦苦闘のムモンアカを終了し、草原にもどり、ホシチャを狙う。今年は少なく、見かけたのはたったの1回のみ。場所を変えアカセセリを狙う。小規模な草原の、そのまた一角に4〜5頭のアカセセリ♂がテリを張っていた。これまでのハードな活動の影響か、撮影のための集中力が途切れがちになり、カメラを構えても逃げられるばかり。撮影時のポカも多発、疲れのため早々に切り上げる。 本日だけで記録媒体256Mb*1枚、128Mb*3枚、バッテリー3本を使い切った。一日でこれだけ消耗したのは初めてのことである。〔長野県〕 *兵庫への帰り、帰省渋滞に4回捕まり、6時間以上かかってしまった。疲労困憊・・・

8月15日(午後 曇り時々晴れ、夕方から雨:長野県) 13日から15日午前中まで家庭サービス、ようやく開放され一路長野県へ。 何気なく立ち寄った県南部の高原の疎林のカシワの樹にハヤシらしきボロメスを見る。数年前に針葉樹を伐採し、新たに切り開かれた草原らしく、目新しい種はいない。 さらに北上する。 渓谷沿いの斜面のコナラにとまるムモンアカを見る。谷を吹き上がる風に揺れるが、オレンジ色の翅の色は良く目立つ。よくよく見れば交尾中。夕日は弱く、おまけに逆光。20〜30回はシャッターを切るが、ブレ写真の山を築く。 牧草地の草原にスレのヘリグロチャバネが多い。 活発に飛ぶウラナミシジミ♂を見る。今シーズン初見。 現地泊で夜半、民宿の窓越しに激しい雨音を聞く。〔長野県〕

8月7日(晴れ) 昼前からカンカン照りの酷暑の一日。 午後2時から近場を廻る。 雑木林の縁は適度に日陰になって、思ったほど暑くない。おまけに蚊もいない。 ヒョクニチソウにキアゲハとナミアゲハが集まる。数が多いため、吸蜜中のチョウに必ずチョッカイをかけるヤツがいて、どのチョウの吸蜜も長くは続かない。 ナミアゲハの求愛飛翔を見る。 畑の植栽のユキヤナギにホシミスジが多い。 雑木林の中で、クロアゲハ♂、ナガサキアゲハ♂の飛翔を見る。クヌギの樹液の染み出しの近くではサトキマダラヒカゲが多い。 ウラギンシジミ、ツマグロヒョウモン、アオスジアゲハを見る。 畑では今日もヤマトシジミが多い。〔播磨南部〕

8月6日(曇り:岡山県北部、曇り時々晴れ、一時雨:播磨) ゴマシジミ撮影のため、未明から西に走る。早朝の開翅シーンを狙って午前4時前に自宅を出発。朝7時現地着。 すでにワレモコウの花穂は伸びている。露に濡れた生息地の草原をずぶ濡れになりながら歩く。さっそくお目当てのゴマが飛び出す。とても新鮮。一旦飛び立ってもすぐに近くの葉にとまり、まだ活発に活動できる状態ではない。7時半を過ぎるととまることなく活発に飛び続ける個体も現れてくる。いつもなら飛翔を狙うところであるが、今日は開翅一本に狙いを定めているため、やり過ごす。生息地を一回りし、最初出遭った個体のやすむ場所に戻り、ここで翅を開くのをひたすら待つことにする。空はどんよりした雲が覆っている。待つこと1時間、8時15分、シジミチョウ特有の翅の擦り合せを始め、かすかに翅を開いていく。カメラの電源ON、スタンバイOK。でもわずか1分で元の完全静止状態に戻ってしまった。8時20分、薄日が差し始め、再びモゾモゾと動き出す。翅を擦り合せ、ストローを伸ばし、葉の上の水滴を吸い始める。前足を使って器用に触角を右・左と整える。まるで猫が顔を洗っているような仕草である。8時23分、ついに翅を開き始める。じれったくなるような少しずつ少しずつの変化である。ようやく翅の表のスカイブルーが見えてくる。表も新鮮、すばらしい!横から、斜め前方からと、表が少しでもよく見える角度を探し、シャッターの回数を重ねていく。本種の開翅はベタッと開くのではなく、最大でも60°くらいしか開かない。まさにV字開翅である。8時25分、何の前触れも無く、突然飛び上がり、あっと言う間に飛び去る。一連の行動はシルビアシジミ♂の早朝の行動にそっくりである。 この撮影ポイントにはこれまで何度か来ているが、今年ほど発生数が少ないのは初めてである。良好な生息環境が維持されているだけに、過度の採集圧がかかっていないか心配である。 ツマグロキチョウ多い。 草原でテリを張るのはチャバネセセリ。 車の周りにはルリタテハが集まる。 撮影中、体から吹く出す汗に、イチモンジチョウが纏わり付く。 目標達成につき、9時過ぎに引き揚げる。〔岡山県北部〕  兵庫県に戻り、先週に続きオナガシジミを探索する。しかしながらまたしても雨・・、どうもこの種は雨ばかり。車で一眠り、雨が上がったあと、オニグルミを見て廻るがお目当ては見つからず。 キャンプ場のトイレの前で吸水するクロアゲハ♂を見る。 ミヤマカラスアゲハ、アオスジアゲハの飛翔を見る。 地表近くを高速で飛び回るのはアオバセセリか?〔播磨北西部〕

7月31日(曇りのち雷雨、午後から曇り) 朝起きて空を見上げれば、雲は厚く、雨の予感。 しかしながらオオヒカゲ&オナガシジミに関する耳より情報を入手したため、確認のため朝から車を走らせる。 播磨奥地、午前8時半、依然として雲は厚いが、渓流沿いの空地でミヤマカラスアゲハ♂の吸水に遭遇。大型で新鮮、なかなか結構!でも翅の表は見せてくれず。残念! 目的地に急ぐがついに雨が落ちてくる。それも次第に強くなる。そのうち雷とともにバケツをひっくり返したような降り方に変る。走っている林道の落石や崩落の危険を感じ、目的地に達する前に引き返す。帰り道、国道も冠水し、いたるところで渋滞する。ほうほうの体で10時に帰宅。〔播磨北西部〕  所用をこなし、一眠りの後、午後3時から近場を廻る。 庭先のヒャクニチソウなどの花に多くのチョウが集まる。 新鮮なナミアゲハ3頭、ボロのキアゲハ1頭、ツマグロヒョウモン♂1頭、モンシロ2頭、それと多くのイチモンジセセリ、チャバネセセリ、ヤマトシジミ。普通種ばかりだが、ヒョクニチソウでの吸蜜シーンは“絵”になり、ついつい時間の経つのも忘れ撮影に集中してしまう。 キク科の黄色い花の園芸種にヤマトシジミが群れている。ざっと見ただけでも20頭は越している。新鮮なオスの翅表はとても美しい。あちこちで求愛行動を繰り広げる。 ナガサキアゲハの求愛、モンキアゲハの飛翔を見る。 撮影地を移動する。ナミジャノメのオスは姿を消し、ボロのメスばかりになっている。〔播磨南部〕

7月24日(晴れ) 昨日の遠征の疲れが残っているため、午前中は写真の整理に当てる。所用もこなし、午後1時からフィールドに出る。 丘の上のノウゼンカズラの花で吸蜜するクロアゲハを見る。 林の中のユキヤナギの周囲を飛ぶホシミスジを見る。被写体自身は明るいところにとまり、背景は真っ黒、という絶好の撮影環境である。被写体がトンでしまわないよう絞込み、慎重に撮影する。 クスノキの周りを敏速に飛び回るのはアオスジアゲハ。この炎天下で、もっとも活発に活動しているのはこの種である。 ヤマトシジミは次第に数を増している。 キアゲハ、ナミアゲハ、ナガサキアゲハを見る。 あまりに暑いのでフィールドは1時間で切り上げる。〔播磨地方〕

7月23日(曇り:鈴鹿山脈高標高地) 朝4時起床、この時期恒例のキリシマを見に鈴鹿に向かう。 9時半現地着。 昨晩、降雨があったらしく木々の葉にはたっぷり水滴が残っている。 アラカシの下枝を注意深く探すと、キリシマ♀が葉に潜り込むような形で静止していた。光量不足でこの個体の撮影はうまく行かず。 アラカシの中木をそっと叩くと、パラパラとオス・メスとも飛び出し、すぐに近くの葉にとまる。曇天のためか、気温が低いためか判らないが、活発に飛ぶ個体はいない。 地上2mの狭い範囲にメス3頭、オス1頭が集まっている。単純な求愛行動かと思ったが、帰宅後、多くの画像を確認したら興味深い事実が写っていた。現地での目撃事実を含めて推察すると次のようになる。 樹液を活発に分泌する新芽があり、その汁を吸うために複数のメスが集まっている。この新芽に一度に複数が群がるのではなく、必ず1頭だけが吸汁し、他は近くの葉で順番が来るのをお行儀よく待っている。突然オスが飛来し、芽に近寄ってくる。吸汁中のメスはこのオスに気がつき、吸汁をやめ、オスに求愛し交尾を迫る。メスは前足でオスの体に触れ、猛烈にアタックした!*オスではなくメスからの求愛である。 この鈍感なオスもようやく“その気”になったらしく、交尾が成立したと思ったら、オスが落下、結合が不充分だったらしい。 この求愛騒動中に新芽“食堂”にはちゃっかり次のメスが腰を落ち着けていた。 その後もこの枝で同じような光景が繰り返された。・・・といった状況である。  日当りの良い葉先にとまる個体はオスもメスも、わずかでも陽射しがあると盛んに開翅する。 本日はオスの占有行動には出遭わず。 本日、シャッターを切った回数は300回以上。メモリー、バッテリーとも消耗が激しかったが、ただ一種の撮影に専念することは楽しく、充実感いっぱいである。〔鈴鹿地方某所〕

7月18日(晴れのち曇り) 午後からフィールドに出る。走行中、ラジオで梅雨明け宣言を聞く。それにしても暑い!路上掲示温度は35℃を示している。 この時期恒例のオオムラサキ探索のため西播磨各地を廻る。 渓谷沿いの道端にイシガケチョウを見る。日頃、見慣れていないためイシガケと判るのに時間がかかる。路傍で吸水していたらしいが、私の車の接近に驚き、落ち着きを無くしたのか、吸水もそこそこにあちこち飛び回り、アッという間に渓谷に消えた。シャッターチャンスは遠距離での1回のみ。 撮影地を変える。 小高い雑木林の遊歩道を散策するが、あまりの暑さに汗も吹き出て、散策するどころではなくなる。 このポイント、ホシミスジ♀がやたらと多い。小道沿いのクヌギを蹴飛ばせば、ボトッボトッと、大型ミヤマクワガタ♂1、♀2、ミヤマカミキリが落ちてくる。でもオオムラは姿を現さない。 さらに移動する。 台地の上の集落の周りに広がる大規模なクヌギ林、でも何もいない。わずかにナミジャノメが飛び出すのみ。 さらに移動するが、北の空は真っ暗、そこまで雷雲が迫っているのが良く判る。 ナラガシワを叩くと飛びだすのは、ウスイロオナガシジミ。 キタテハ夏型は新鮮、しかも数が多い。 オオチャバネセセりはメスのスレばかりが目に付く。 本日は結局、オオムラには出遭えず。〔西播磨各地〕

7月16日(晴れ) 久しぶりにゆっくりくつろいだ休日の朝を迎える。ゼフ撮影やウスイロヒョウモンモドキ保護活動・生態観察・撮影も一段落、超多忙期間を無事乗り越えることができ、ホッと一息である。ギフからの3ヶ月、かなり疲労も溜まっているようだ。 それでも9時からフィールドに出る。 ヒメヒカゲ生息地草原の主役はジャノメチョウに替っている。近づくとパッと飛び立ち、数m先に舞い降りる。メスは新鮮な個体が多いが、オスはかなりスレている。それにしても当地のジャノメチョウ♀はどれも大きく、ド迫力である。オオヒカゲとあまりかわらない大きさである。今日は吸蜜、求愛、交尾などは見かけず。 ウラナミジャノメも姿を消している。 コチャバネセセリ多い。どれも新鮮。 田のあぜに咲くアザミで吸蜜するキチョウ、チャバネセセリを見る。 セリの白い花で吸蜜していたのは黒いベニシジミ。 撮影地を変える。 クヌギの樹液に集まるゴマダラチョウとヒカゲチョウを見る。樹液を吸おうと試みるがカナブンに蹴散らされ、離れたところで“テーブル”が空くのを待っている。このポイントでの撮影は薮蚊との戦いでもあり、長くても数分で撮影を切り上げざるを得ない。 さらに移動する。 雑木林の奥の水源で吸水する新鮮なモンキアゲハを見る。 アラカシの樹冠で占有行動を繰り返すウラギンシジミを見る。遠目にはキリシマミドリのテリ張りにそっくりである。 さらに撮影場所を変える。 雑木林の縁の果樹園にナミアゲハ♀が多い。ざっと見ただけでも4〜5頭は飛び回っている。いずれも極めて緩やかな飛翔、明らかに産卵行動の個体も見受けられる。そのうち数頭、植栽のサンショに次々と産卵をはじめる。すぐそばにみかんもあるのに産卵するのはサンショばかりである。 咲き始めたヒャクニチソウで吸蜜するキアゲハ、ツマグロヒョウモンを見る。アラカシの暗い森の中を飛ぶのはムラサキシジミ。〔播磨南部地方〕

7月9日(曇りのち雨、夕方曇り:但馬) 7月10日(曇り:但馬) 10日のウスイロヒョウモンモドキ観察会の準備のため、8日の夜からハチ高原に入る。9日早朝、遠来の撮影希望者とともにウスイロの生息地に向かう。さすがに朝7時では活動する個体は少ない。わずかにオカトラノオで吸蜜している個体を見る。9時前から次第に風雨が強くなり、撮影が困難になる。尾根筋では風速15m以上か、風に飛ばされそうになる。一時宿に撤収する。 正午前、少し雨脚が弱くなったのを見計らって再びフィールドに出る。しかしながらまた雨が強くなり、仕方がないのでフィールド内の非難小屋に飛び込み、雨が止むのを待つ。 午後2時、ようやく小降りとなりみたび撮影を開始する。クロシジミ新鮮。オスに比べメスの方がやや多い。依然として雨が降り続いているため、飛び回る個体はいない。下草にとまりじっとしているクロシを丹念に探す。 ミズナラの幼木にミズイロオナガが多い。 撮影場所を移動。 草原のカワラケツメイに産卵するツマグロキチョウ♀を見る。狭い範囲の斜面に高密度で発生している。 同じ草原に、ダイミョウセセリ、オオチャバネセセリ、イチモンジセセリ、ツバメシジミを見る。 更に撮影地を移動し、高標高地でゼフを狙う。今しがたの雨がたっぷり葉の表に残っているため、枝の叩きだしでびしょ濡れになる。いろいろと飛び出すが、上方に飛び去ることが多い。明らかにゼフと思われる個体も多い。結局、確認できたのは、ウスイロオナガとジョウザンのみ。エゾとおぼしきフォボニウス♂のテリ張りを見る。これで9日の活動は終了。夜はロッジで盛大な宴会となる。 10日、ウスイロヒョウモンモドキ観察会までの時間を利用して、ジョウザン♂、アイノ♂のテリ張りの撮影に向かう。アイノはジョウザンに比べ、やや暗い谷を好むようだ。被写体まで距離はあるが、今シーズン撮影を諦めていたアイノを撮影できるとは、ラッキーである。 午前10時から観察会を開催する。“守る会”会長、兵庫県出席代表者挨拶、“守る会”メンバーによるプレゼンのあと、フィールドに出る。初めてウスイロモドキの実物を見た、といった地元の方も多く、盛大・活発な観察会となる。求愛、吸蜜などさまざまな生態を見せてくれ、参加者は皆、大喜びの様子であった。 ヤマツツジに吸蜜に訪れるミヤマカラスアゲハ、草原を優雅に飛ぶカラスアゲハを見る。 ルリタテハ、アカタテハなどのタテハのなかで最も数が多いのはウラギンヒョウモン。メスも多い。 ムラサキシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、ヤマキマダラヒカゲ、オオチャバネセセリ、コキマダラセセリ、キマダラセセリ、モンキチョウ、スジグロシロ、テングを見る。〔但馬地方〕

7月2日(曇り時々雨:但馬) 7月3日(雨:但馬) 降水確率は極めて高いが夜明け前から但馬に向かう。 途中1時間の仮眠をはさみ、高標高地のゼフの谷に8時着。幸いまだ雨は落ちてこないが、気温は結構高い。曇り空ながら、8時半を廻るとゼフが飛び始める。1頭が飛び始めたと思ったら、わずか10分の間に一斉に活動を始める。ほとんどがジョウザンミドリ♂。時には卍に、時には追尾と激しく活動する。なかには下草の低い位置でテリをはる個体も現われ、絶好のシャッターチャンス到来に心も躍る。9時を過ぎると盛んに翅を広げスクランブル発進を繰り返す。残念ながらほとんどがスレかカケ。なかにアイノミドリが混じる。ジョウザンの深い藍青緑色とは違いアイノは明るい黄青緑色なので同定は容易である。このアイノもとんでもないボロ!翅面積の3割は損失している。今年のアイノ♂の撮影はこれで終わり。結局満足なものは一枚もなかった。また来年!である。 午前10時からウスイロヒョウモンモドキ保護活動に合流する。仲間は夜明けから調査・監視を行なっている。時折降る雨にびしょ濡れになりながら、雨のやみ間を見計らって、ルートセンサス、マーキング調査を実施する。 保護活動中、交尾中のウラギンヒョウモン、ルリタテハ、ベニシジミ、ムラサキシジミを見る。 午後4時、保護活動はひとまず仲間に任せ、他の種の撮影に向かう。 コキマダラセセリ初見。オカトラノオで吸蜜するメス、夕日を浴びて開翅するオスを見る。 カシワ林にハヤシミドリが多い。目撃したオスはすべてピカピカ!比較的低い位置のカシワの葉の先にとまり、徐徐に翅を広げていくシーンをワクワクしながら撮影する。テリを張るオスを確認する。スクランブル発進や卍飛翔、追尾飛翔を見る。午後6時近くになると探雌のため葉の茂みに何度となく潜り込みながら、あちこち不規則飛び回るオスが多くなるようだ。 2日夜は帰宅せず現地但馬泊。移動がない分ゆっくりできる。朝6時前からフィールドに出る。残念ながら今日は朝から強い雨が降る生憎の天気。ゼフ撮影は諦め、ウスイロの調査・監視活動のみ行なう。〔但馬地方〕

6月26日(晴れ) ここのところ週末恒例の但馬行き、今日も早朝から北上する。 ハルニレの大木の枝を叩くとカラスシジミが落ちてくる。昨年のこの時期は新鮮だったのに、今日のヤツはボロ。気温が高いためか今日撮影できたのはこの1頭のみ。 本日からウスイロヒョウモンモドキ成虫の生態観察を開始する。メンバー顔合わせ後、昨年設置の“採集禁止”看板をすべて更新する。今シーズンからリアルタイムで気温、地中温度、日射量、降水量、風速を計測、成虫の発生とどのような関係になっているのか興味深々である。保護活動への地元の参加も飛躍的!小学校の課外活動にとり得れる動きもあったりする。また、連日のパトロールはもちろんのこと、密猟者が出没する夜明けや夕暮れも重点的に見回り、不審者発見の場合は即通報とのこと。地元の判断なのでコメントを差し控えたいところではあるが、個人的に言えば、ここまでやっていただけるのなら心強いばかりである。 その他として、メスを探し飛び回るウラギンヒョウモン多い。 ムラサキシジミ多数。ここではカシではなく、ミズナラで発生している。強風下での環境に適応しているためか、決して高く舞い上がることはなく、平地産とはまったく違った飛び方をする。 ニガナの花で吸蜜するギンイチモンジを見る。〔但馬地方〕

6月25日(晴れ) 所用もあり朝から但馬に向かう。時間をやりくりして撮影する。 アイノやジョウザンを撮影したかったのに先週に続きただの1頭も出遭わず。代わりに現れたのがフジミドリ。午前9時、深い渓谷の底の陽の当る空間にオス3頭、メス1頭が集まる。うちオス1頭は岩の上の水分を熱心に吸っている。メスは葉の上にとまり動かない。裏面はかなり新鮮な個体である。撮影するには楽な展開だと思ったのが失敗、突然翅を開いたかと思った数秒後にはフラフラと舞い上がり二度と下に降りてこなかった。ブナの樹ははるか上部の尾根筋に生えているのだが、昨日があまりに暑かったため渓谷の底まで降りていたのかもしれない。 カシワ林に新鮮なミズイロオナガを見る。 カシワの新芽の樹液を吸うムラサキシジミを見る。 ハヤシミドリ♂出始め、わずか2頭であるがもう出ている。 午後から仕事、11時過ぎに撤収する。午後11時の時点で気温は34度もあった。〔但馬地方〕

6月22日(曇り時々晴れ、夕方雨:但馬) 有給休暇を取って但馬に向かう。 梅雨前線はやや北上しているもののまだ太平洋側にある。但馬地方も曇りの予報であるが、意を決して一路北に走る。狙いはヒサマツミドリ一本! 午後11時着、場所はプライベートポイント。早速、目線の高さにとまるピカピカのオスを見る。後翅裏面のV字も鮮やか。翅の縁どりも白いまま。 じっくり撮影するつもりが、カメラを構えたとたん飛び去る。 続いて2頭目発見、今度は慎重に近づく。とまる位置がやや高く、無常にも風に揺れる。結局この個体の撮影はうまく行かず。 高い位置にとまるのを見越して今日ははしごを用意してきている。この判断が大正解!絶大な効果を発揮することになる。 午後1時すぎからテリトリーを張り始める。葉の先端にとまり、翅を開く瞬間をドキドキしながら撮影する。まさに至福の時。今年は発生の密度が低く、このポイントですら卍になることは少ない。近くを飛ぶルリシジミに反応し追いかけ戻って来ないときもある。ポツリポツリとこのポイントにやって来る個体はピカピカもいるが、カケ&スレも混じっている。午後3時まで撮影を続ける。 ブナの樹冠を飛ぶフジミドリ♂を見る。午後2時ころから活発に飛び始める。時には4〜5頭が1本のブナの周囲を飛ぶ。中段の枝の葉の先にとまり、V字に翅を広げテリを張る。遠めにもスレているのがよく判る。この種はテリを張り始めるようになると鱗粉は一気に剥げ落ちるようだ。偶然、至近距離にとまったオスを撮影する。ラッキー! クリの花で吸蜜するウラクロシジミを見る。超ボロ。 午前11時にはブナやクリの下枝でテリを張るジョウザンミドリ♂を見る。〔但馬地方〕

6月19日(晴れ時々曇り午後雷雨:但馬、晴れ時々曇り:播磨) 少々疲れ気味だがこの時期は休むわけには行かない。 朝7時、ミドリシジミの撮影からスタートする。それにしても葉にとまっているだけのミドリシジミは面白くもなんともない。 トラフ夏型も同じ。 朝日を浴びて翅を閉じたり開いたりするウラギンスジヒョウモン♂を見る。早朝といえども、なかなかどうして敏感で容易に近寄らせてくれない。3mが精一杯。唯一、ブッシュの陰から近づき、逆光下で絶好のシャッターチャンスがあったのだが、ものに出来ず失敗、残念! ヒメヒカゲ、ウラナミジャノメとも終盤。大幅に数を減らし、見かける個体はどれもスレ・ボロばかり。 まだナミジャノメは現れていない。 ナミヒカゲはメスが多い。前翅は丸く、飛翔は緩やかでオスとは別種のようだ。 ナミアゲハ♀も緩やかに飛ぶ。〔播磨南部〕 標高700mの渓谷にメスアカミドリの卍飛翔を見る。卍に気が付いてからも10分以上ももつれていた。ストロボを使って何度も撮影するがそれでも卍は解けない。いったいいつから卍になったのだろうか?この渓谷ではあちこちでメスアカが見られるものと期待していたのに、本日の目撃はこの1回のみ。やはり今年は少ないのだろうか?〔播磨北部〕 桜の古木でキマダラルリツバメを見る。樹を揺らせて飛び立たせ、撮影可能は場所にとまるのを待つ。この樹への執着は相当なもので、けっして他の樹に移らない。テリを張る夕方までこの場所で腰を落ち着ける覚悟を決めたとたん、急に空模様があやしくなり、時間を置かず雷雨となる。これでは仕方がないと諦め撤収する。〔但馬地方〕 再び播磨に戻り撮影を続行する。 草原を低く、草むらを丁寧に確認するような飛び方のウラギンスジヒョウモン♂を見る。明らかにメスを探しているようだ。 メスグロヒョウモン♀の飛翔を見る。 今日の出だしのミドリシジミポイントに戻る。午後6時、ハンノキの樹冠を活発に飛び回る。メスアカに比べ卍は長く続かない。時には4頭が追い駆けあう。空が曇っているためか、翅を開いてスクランブルの姿勢を取ることは少ない。〔播磨南部〕 

6月18日(曇り時々晴れ) 早朝から但馬に向かう。 なんとなく今日は採集者に会いたくない気分で、採集者が絶対に来ないプライベートポイントを廻る。 今年は季節の移りが遅いためか、まったくの外れ年か判らないが、山地性ゼフをまったく見かけない。本来であれば、オオミドリ、ジョウザンミドリ、アイノミドリ、メスアカミドリ、エゾミドリなどが現れるこの時期に今日はただの1頭も出遭わず。アイノ、ジョウザンが多産する谷に向かう途中、ウスバシロを数頭見かける。明らかに一週間以上季節が遅いようだ。 イチモンジチョウ、コジャノメ、アカタテハなどの普通種を時間をかけて撮影する。 クロヒカゲ、ヒメキマダラヒカゲは今が盛期。 やや暗い林道にアサギマダラが数頭集まる。すべてオス。 ゴイシシジミ初見、撮影は失敗。 レンゲツツジにカラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハを見る。すべて大きく破損している。 山頂付近に咲くアザミの花にモンキチョウが多い。吸蜜の他にあちこちで求愛行動を繰り返す。オスはメスの前方を飛び求愛。地表にとまったメスの前に舞い降り、小刻みに翅を振るわせ求愛するオスを見る。このような行動を見るのは初めて。 それにしても今年の但馬はチョウの数が圧倒的に少ない。例年より多いのはテングとヒオドシくらいなもの。ゼフに同じく大型ヒョウモンも極めて少ない。たま〜にウラギンヒョウモンを見かけるのみ。 本日の目撃種はダイミョウセセリ、コチャバネセセリ、トラフシジミ(春型のボロ)、ムラサキシジミ、スジグロシロ、モンシロ、ルリシジミ、ルリタテハ、ウラクロ。〔但馬北部〕  昼過ぎに撤収し、南下する。 小さなナラガシワ林を飛ぶゼフ♂を見る。ヒロオビ♂か?〔但馬南部〕  

6月12日(晴れ) 薄い雲がかかるが天気予報通りの晴れ。夜が明けないうちに自宅を出て、一路但馬に向かう。現地6時着、辺りは深い霧が立ち込めている。ちょっとだけ仮眠のつもりが熟睡してしまい目が覚めれば8時前、いつのまにか霧は晴れピーカンの空。あわててブナやミズナラの枝を叩くが、アカシジミが舞い降りてくるのみ。やっとお目当てのフジ♂が飛び出すが、樹冠に消える。こんなことならもう1時間早く目覚めるべきであった。その後、12時過ぎからフジはポツポツ飛び始めるが、発生初期でまだ数が少ないのか、はたまた外れ年なのか判らないが、ブナの高所を渡っていく姿を5〜6回眺めるのみ。当然のことながらシャッターチャンスはただの一度もなし。 ヒサマツも姿を現さず。 多数のカラスアゲハやモンキアゲハが飛び回る。 テリを張るキアゲハ、ウラギンヒョウモン、ヒメアカタテハを見る。 素早く飛び回るのはアサマイチモンジ、ミスジチョウ、スミナガシ(?)か。 ミズナラの周囲を旋廻するコムラサキ♂を見る。 水溜りにはテングが集まっている。 ヒメキマダラヒカゲ初見、撮影失敗。 アサギマダラ♂は葉陰に休む。 ウラクロシジミ♂の飛翔を見る。計3回、蝶道を辿るように同じコースを飛び消える。 ニガナの花で吸蜜するモンキチョウ、スジグロシロチョウ、キアゲハを見る。 高木の頂を飛ぶアオスジアゲハを見る。〔但馬地方〕  午後2時前には引き上げ、播磨に戻り昨日と同じコースを巡る。 新鮮なヒオドシを見る。翅を開くまで辛抱強く待ち、なんとか撮影する。 キタテハ夏型を見る。 日が翳ると午後4時前からでもウラゴは活発に飛び始める。 ウラギンスジヒョウモン♂確認。とても新鮮、でも撮影は失敗。 昨日と同様、午後5時前からトラフが活発に活動を始める。 ミドリシジミ♂も活動が盛ん。トラフとは違った空間を占有することが多いようだ。時には卍にもつれる。 ミドリ卍の方がトラフに比べて大きく、長時間続く。 午後6時過ぎ、活動のピークを迎える。時には4頭が追い駆けあう。ミドリの他にトラフ、ルリシジミ、ナミヒカゲが加わり、たそがれの空はチョウのシルエットだらけになる。〔東播磨地方〕 

6月11日(雨のち曇り、夕方から晴れ) 雨音で目が覚める。久しぶりにゆっくりとした休日の朝を過ごす。所用をこなしたあと雨上がりの午後3時からフィールドに出る。 雨があがってそれほど時間が経っていないため下草はじっとり濡れている。 ウラナミジャノメとヒメウラナミジャノメの混飛を見る。いつもの観察ポイントではめったに見られないことが、このポイントでは普通のようだ。 ウラゴ♂の飛翔は速く、敏捷そのもの、次々と樹冠を渡っていく。 それに比べナミアゲハ♀、キアゲハ♀に飛翔はとても緩やか。 ルリタテハ♂の占有行動を見る。撮影は失敗。 撮影地を変える。 ヒメヒカゲ♂は数を減らしている。メスもスレが多くなってきている。成虫が見られるのも長くてもあと2週間ぐらいか。シオカラトンボの仲間のメスに捕食されるヒメヒカゲを見る。飛翔がトロいため、アッと言う間に捕まり、ムシャムシャ食べられてしまった。 ウラギンスジヒョウモンらしきオスを2度見る。今年も生き延びてくれたかと、ホッとする思いである。 田のあぜで求愛行動を繰り返すモンキチョウを見る。田植え前の作業中のトラクタをバックに入れたかったのだが、出来上がりはいまひとつ。 ハンノキの低木のてっぺんで盛んに追尾・卍飛翔を繰り返す黒っぽいシジミを見る。よくよくみればトラフ♂。ハンノキやアオハダの葉先で翅を広げ、いつでも飛び立てる体制を保つ。翅表の深い藍色が夕日に耀く。すばらしく美しい! 時折、翅を閉じてアオハダの小さな花で吸蜜する。 ミドリシジミ新鮮。トラフ♂の活発は占有行動に押され気味、時々、ハンノキの樹冠を渡っていく。飛翔中に深緑色の翅表が鈍く耀く。今日は開翅シーンには出遭わず。 活発に占有行動を繰り返すナミヒカゲ♂を見る。すばらしい飛翔能力を改めて実感する。 ヒメジャノメ初見、間違ったのかヒメヒカゲ♀に求愛するのを見る。シャッターチャンスに焦ってしまって撮影は失敗。 ネジキの花で吸蜜するナミアゲハ♀を見る。〔東播磨各地〕

6月5日(曇り時々晴れ、夕方から晴れ) 昨日の感激が忘れられず、ヒロオビ♂の早朝開翅狙いで夜明け前から西播磨に向かう。午前5時半現地着、昨夜の雨か朝露か判らないが、辺りは木の葉・下草ともジットリと濡れている。 ナラガシワの葉の上で微動だにしないキタテハを見る。脚で踏ん張って静止するのではなく、胸や腹をべたっと葉に密着させた体勢でとまっている。 ナラガシワのたたき出しで落ちてきたのはウスイロオナガのみ。気温も14℃と低いためまったく飛ぶことはできない。 お目当てのヒロオビは姿を見せず。 雲も厚く、天気の回復も遅れそうなので、8時過ぎには引き揚げる。〔西播磨〕  帰宅後一眠り、所用をこなしたあと午後1時から再びフィールドに出る。 夏型ウラギンシジミ♂を見る。新鮮。 ヒオドシの活発は飛翔を見る。 見かけるコチャバネはすべてスレか破損している。 雑木林の中のやや暗い小道でスジグロシロを見る。逆光を意識しながら撮影する。 ルリシジミの活動盛ん。 今日もどこでもやたらとテングが多い。 ヒメヒカゲの観察・撮影に向かう。メスのスレ&破損個体を確認する。赤土(あかつち)で吸水するオスが多い。この種の放花吸蜜は極めて稀だが、水分(養分)補給は今日のように土や葉から行なっているのかもしれない。 ウラナミジャノメ新鮮。ヒメウラナミの第1化個体が残っているところには現れていない。ササの原っぱを執拗に追廻し撮影する。 イボタの林に今日もウラゴは少ない。当東播磨では今年は稀にみる外れ年のもよう。早々に撮影を諦める。 ミズイロオナガは新鮮。狙ったとおり、狙った場所で多くの個体に出遭えると嬉しいものである。強い風と光量不足に悩まされ撮影する。〔東播磨各地〕

6月4日(晴れ、夕方から雷雨) ナラガシワ系ゼフ狙いで早朝から西播磨に向かう。午前9時着。 陽はすでに高く、ナラガシワ&クヌギの雑木林はひっそりしている。仕方がないので竿でたたき出す。 まず飛び出したのはウラナミアカシジミ。下草にとまったところにカメラのレンズを近づけると警戒する仕草を見せる。どのような角度でも、バックに人工物が入り、ろくな写真にならないことに気が付き撮影を中断する。 雑木林に続く栗林のなかを歩くと、ナミヒカゲ、クロヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、コジャノメが飛び出す。 ナラガシワから次に現れたのはヒロオビ♂、たたき出すとすぐさま、ナラガシワやクリの葉の茂みに潜り込む。 近距離でのヒロオビ♂の撮影は今日が始めてなので、“慎重に慎重に”と自分自身に言い聞かせ撮影する。モニターを通して見ても、新鮮なのが良く判る。葉の裏での静止で安定することも多い。葉の表に静止していると思ったら突然その場でせわしなく動き出し、その後回転を始める。よくよく見れば、回転しながら葉の表に付いた水分をずっと吸っている。興味深い行動である。また、撮影中にシジミチョウ独特の行動である、後翅の擦り合せを始め、わずかにのぞく翅表の金緑色に心ときめく。 これまでの観察からの推測であるが、ヒロオビ♂は羽化後数日はナラガシワの葉の茂みでおとなしくしていて、その後成熟すると、樹冠で盛んに占有行動を繰り広げる。占有行動を始めると飛翔が激しいため、ほんの数日で鱗粉が落ち始める・・・こんなことかもしれない。 次に目撃したのがウスイロオナガシジミ。時間的には不活発であると、タカを括っていたのが失敗、3カット撮影後飛び去られてしまう。 アカシジミはスレ始めている。 活発に飛び廻るヒオドシを見る。 キタテハはすでに夏型が現れている。 テング新鮮、西播磨では今年は当たり年らしく、どこでも多くの個体が群れている。一箇所50頭以上の集団もたびたび見かける。 栗林の中でメスグロヒョウモン♀を見る。残念ながら羽化不全の個体、これでは子孫を残せないであろう。人為的に葉にとまらせ撮影する。 時々、大型のヒョウモンが素早く飛び廻る。メスグロのオスか? ウラジロミドリ、キマダラモドキは見かけず。 クモガタを狙って撮影地を変えるが、ただの1頭もいない。ウツギの花の周りを高速で飛ぶイチモンジチョウを見る。 さらに撮影地を移動する。 ナラガシワ林の縁にウラナミアカシジミ、アカシジミを見る。次第に吹く風が強くなってきたため、ブレ写真の比率が急増する。 アザミで吸蜜するヘリグロチャバネセセリを見る。 ナラガシワの高枝からミズイロオナガらしきシジミが飛び出すがさらに高く舞い上がり同定できず。 同じくアザミで吸蜜するキアゲハ夏型を見る。 エノキの幼木で産卵行動中のゴマダラチョウ♀を見る。細い幹や葉にとまり、盛んに腹を折り曲げ産卵する仕草を見せるが、本当に産卵したかどうか確認出来ず。撮影も失敗。 アカタテハ、コチャバネセセリ、ルリシジミを見る。〔西播磨各地〕  午後2時半、西播磨を切り上げ東播磨に戻る。途中、急速に空模様が悪化する。 ヒメヒカゲ、ウラナミジャノメを見るが撮影できる状況ではなくなる。〔東播磨〕  *諸般の事情により、今後本フィールド日誌には具体的な市町村名は明記しないことにいたします。

5月29日(晴れ) 聞くところによれば数日前にヒメヒカゲ初見とのこと、確認のため早朝7時からヒメヒカゲ生息地に向かう。 数箇所の観察ポイントのうち、最も早く現れる草原では、案の定、飛び廻っていた。まだ出始めらしく新鮮なオスがほとんどだが、メスが1頭、スレ始めたオス2頭が混じる。1年ぶりに見る低く跳ねるように飛ぶ姿はやはりいいものである。ササの葉の表に付いた水分を吸うオスを見る。ストローは意外なほど短い。翅裏のジャノメ紋は個体ごとに大きさや個数が微妙に違っている。まったく同じ個体はいない。個体変異の典型例であろう。 ウラナミジャノメはまだ姿を現さない。 ナミアゲハ♂第2化、キチョウ♂第1化、ツバメシジミ♂第2化、チャバネセセリ第1化を見る。〔加古川市〕  イボタの林にウラゴを探すが見つからない。発生初期でまだ数が少なく、たとえいたとしても活動時間外のためか1頭も姿を見せない。 イボタの花で吸蜜するのはコチャバネセセリ。 エノキの林に新鮮なテングを見る。突然地面に落ちてきたと思ったら、枯葉のように横倒しになって“死んだフリ”、テングのこのような生態行動を見るのは初めて。〔加西市〕  雑木林の中で新鮮なアカシジミを見る、初見。〔小野市〕  所用のため一旦引き揚げ、午後1時過ぎから再びフィールドに出る。 雑木林の奥、砂防ダムの湿地に生えるオランガガラシに多くのチョウが集まる。 新鮮なテング3頭、スジグロシロ♂♀各1頭、コチャバネセセリ数頭、アオスジアゲハ1頭は吸蜜に忙しい。 樹上の暑さを避けるためか、新鮮なアカシジミ4〜5頭がオランダガラシの葉に休んでいる。吸蜜している感じではない。緑色の葉、白い花、アカシジミの橙色が色彩的によくマッチしている。このアカシジミ、なかなかどうして敏感で近づき過ぎるとあっという間に高所に飛び去る。 湿地の上の空間を占有しているのはコミスジ。2頭が延々と追い駆けあう。薄暗いところでコジャノメ♀と羽化したばかりと思われるダイミョウセセリを見る。 ナガサキアゲハもやってきた。 ルリシジミ♂の第2化の新鮮な個体が3頭かたまってアラカシの葉にとまっているのを見る。〔加古川市〕  数年前のこの時期、ミヤマチャバネセセリを見た播磨最深部の谷に車を走らせる。現地は分厚い雲の下、おまけに雨まで落ちてくる最悪の状況。当然のことながらミヤチャはおろか何もいない。無駄な100km走行であった。〔加美町〕  早々に南下、午前中のイボタの林を再訪する。イボタの樹から樹へ目まぐるしく飛ぶウラゴマダラシジミを見る。このチョウ特有のチョウ道をなぞるように次々と渡っていく。昨年、一昨年と比べると数は少ない模様。撮影可能な時間帯ではないため、しばらく飛翔を楽しんだあと引き揚げる。〔加西市〕

5月28日(晴れ:岡山県) 2日連続の超深酒。頭朦朧状態ながらこの時期恒例のベニモンカラス撮影に向かう。10時半現地着。自分で開拓した撮影ポイントなので、当然のことながら誰もいない。 さっそくテリ張り中のオスが出迎えてくれる。新鮮。 日向と日陰がまだら模様を織りなしている葉の上に好んでとまる。とまる位置はほぼ決まっているようだ。逆光で撮影すると翅裏の地色が暗いため真っ黒になってしまう。時には卍飛翔を繰り広げる。卍は小さく、上方へ登っていく。追尾飛翔になると猛スピードで追い駆けあうが、茂みに入ってもけっして葉や枝に触れることは無い。すぐれた飛翔能力に感心する。メスらしき個体も現われるが求愛行動までは確認出来ず。静止中はコツバメと同じように、陽の光を効率よく翅に当てるため体を倒す。午後2時以降、雲が出て日が翳ってくると静止する位置はランダムに変る。 足場の悪い急斜面に4時間半ねばり、ひたすら撮影に没頭する。撮影に夢中になるあまり、手を添えていたアベマキの幼木を登ってきた大ムカデに気が付かず、左手中指の先端を噛まれる。 地面にとまり何か汁を吸うゴマダラチョウと数頭のコムラサキを見る。 雑木林のなかはクロヒカゲが多い。 新鮮なモンキアゲハ♀のゆったりとした飛翔を見る。 渓谷を風に煽られ登ってくるアサギマダラを見る。 イチモンジチョウ、大型のヒョウモン(ミドリorクモガタorメスグロ)の活発な飛翔を見る。 その他、シジミやセセリ、タテハなど一瞬目の前を横切る種が多いが同定できず。〔岡山県〕

5月22日(曇りのち雨) 「兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」の活動のため、早朝から但馬に向かう。朝から雲が厚く、自宅を出るときからポツポツと小雨が車のフロントガラスを濡らす。 こんな天気なので、移動中のウスバシロ飛翔目撃は1回のみ。 来月後半からのウスイロヒョウモンモドキ成虫発生時期に実施予定の各種生態調査、広報活動の準備・打合せを行なう。合わせてフィールドにて幼虫調査を行うが、急に風雨が強くなり、充分な時間が取れず、参加メンバー全員で狭い範囲を集中的に探すがなかなか見つからない。この種の幼虫探しは極めて難しく、経験者が同行していないと絶対に不可能だと実感する。ようやく6齢、7齢(終齢)幼虫を数頭見つける。天気が悪いため食餌することなく、地表や落ち葉の裏に潜んでいたものと思われる。 ますます天候が悪化する中、全員ズブ濡れになりながら本日予定の準備作業は完了する。〔養父市・香美町〕

今年もハチ高原一帯のウスイロヒョウモンモドキの採集は控えていただくようお願いします。我々「守る会」は採集者を締め出すことが究極の目的ではありません。さまざまな調査を行なうことで、ウスイロヒョウモンモドキの実態を明らかにし、更に生息に適した環境を探り、ハチ高原という広大な生息環境全体で保護・保全を模索していきたいと考えています。一緒に汗を流していただける方の連絡をお待ちしています。

5月21日(晴れのち薄曇り、夕方から本曇り) 早朝から西播磨の岡山県境近くのフィールドに向かう。午前9時、アザミの花で吸蜜するのは、ヒメキマダラセセリ、ダイミョウセセリ。ヒメキマダラは新鮮からスレまでさまざま。ダイミョウはすべて新鮮。 2週間前に飛んでいたツマキチョウは今日は1頭も見かけない。 ウスバシロも大きく数を減らしている。 今日もアゲハはポツポツとしか蜜を吸いにやってこない。オナガアゲハ♂、クロアゲハ♂が大半、時々アオスジとカラスが混じる。後翅のほとんどすべてを失っているカラス♀を見る。よくもまあ、これで飛べるものだ! ボロカラスを撮影中にカメラを落としそうになる。危機一髪、気をつけなければ! 路肩の茂みの中でコジャノメを見る。ヒメジャノメのように翅裏地色が薄く、一見、コジャノメとは思えないような個体 (*もしかしたらヒメジャノメかもしれない)。 昨年のこの時期に多くの個体が現れていたクモガタヒョウモンは1頭も見かけず。 所用のため11時に引き揚げる。〔上月町〕  帰路、ヒメヒカゲ生息地に立ち寄るが、クモガタ同様、ヒメヒカゲもまだ現れていない。すべてが異常に早かった昨年と比べると、今年は普通にもどったといったところか。 薄暗い竹やぶの中で、クロヒカゲを見る。前翅裏面の3個の蛇の目紋、もしやモドキか?と、よくよく見れば前翅全体の形状はどうみてもクロ、残念。 みかん系果樹園を飛び廻るのはナガサキ♂、白い花に目をくれることもなく、びゅんびゅんと飛び廻る。 畑の中をスイースイーと飛ぶのはホシミスジ。初見。 雑木林を高く滑空しながら飛ぶのはコムラサキか?確認出来ず。〔加古川市〕  所用をこなした午後4時前から再び(本当はみたび)フィールドに出る。イボタの花は咲いているのにウラゴはまだ現れていない。アカシジミも同じ。〔加西市・小野市〕

5月15日(晴れ時々曇り、午後から一時雨) 昼頃から天気が目まぐるしく変わる一日。 朝9時から「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で幼虫個体数調査に参加する。日頃、下草刈りや常緑樹の枝払いを行なっているヒメカンアオイ自生地を廻る。成虫目撃数が昨年に比べ少なかったのと同様に、今日確認した幼虫も数が少ない。季節の移り変りが昨年に比べ遅いため、ほとんどが初齢幼虫、少ないながら時には2齢、3齢が混じる。幼虫確認総数は昨年に比べ三分の一から五分の一、といったところか。場所によっては数卵塊すべてが殻だけ残り、幼虫の姿が見えない。まとまった約50卵がこの段階で全滅の様相を呈している。クモ、オサムシ、マイマイカブリ、ムカデなど卵や幼虫を食べそうなヤツらが生息地の地表にはうようよ這いまわっている。まあ条件の良い年、悪い年といろいろあるだろうが、生息環境が変らず、過度の採集圧がかからない限り代をつないで行くのであろう。 午後から単独行動で各地を廻る。イボタの花は咲き始めたところだが、ウラゴマダラシジミはまだ現れていない。 エノキの樹冠を高く速く飛ぶのはゴマダラチョウか? ヒメヒカゲもまだ現れていない。 雑木林の縁のナツミカンの植栽の白い花にクロ系アゲハが集まる。当りは柑橘系の芳香が強く漂っている。ナガサキ♂が最も数が多い。吸蜜シーンは一回だけ、あとは樹から樹へ飛び廻り、メスを探しているようす。ナガサキ♀の吸蜜を発見、急いでカメラをスタンバイしたところ、オスが現れる。メスは吸蜜を中止し逃げ回るのみ。結局2頭とも飛び去られてしまう。 モンキアゲハ初見。またしてもナガサキ♂のチョッカイに逃げられてしまう。初めて気が付いたが、遠目にはナガサキ♀とモンキは意外に同定し難い。 ハルゼミの鳴き声を聞く。〔加古川市・加西市〕

5月14日(晴れ) すがすがしい一日。早朝から但馬に向かう。 今日の撮影課題は“棚田とウスバシロチョウ”。 期待通り、養父市別宮の棚田に多数のウスバシロが群れ飛ぶ。田植え前の水の張られた棚田や残雪の氷ノ山を背景にアブラナの花で吸蜜するウスバシロ♂を撮影する。撮影角度を変え、望遠・広角と距離を変え写しこんでいくが、なかなか納得の行く構図にならない。バックはOKなのに、チョウの向きが悪いとか、頭が見えないとか、「やっといけた!」と思ったらピンボケだったとか・・・。一箇所で2時間写しまくるが、満足できるものがないような気がして“後ろ髪引かれる思い”ながら、次の課題のミヤマカラスの撮影に向かう。 昨年多くの個体が群れ飛んでいた小さな谷のツツジの植栽には、たったの1頭しかいない。どうやらお目当てのミヤマカラス♀のようだが、10mも近寄ることができず飛び去られる。30分待つが1頭も現れず。西播磨に同じく、昨年に比べここでもアゲハの数が極端に少ないようだ。 ウスイロヒョウモンモドキ生息地の気象観測計器設置工事の手伝いに向かう。結線や計器試運転など特殊作業はできないので、手元工に徹する。午後2時、無事すべての計器が観測を開始する。これでウスイロ生息地の気象状況が明らかになるであろう。  午後3時から再びウスバシロの撮影にもどる。太陽の位置は大きく変わっているが、まだ日差しが強いため活発に活動している。アザミで吸蜜中の個体を集中的に撮影する。5月のすがすがしい高原の春、田植えが始まった棚田、優雅に飛ぶウスバシロ・・・すばらしい光景である。今日は確認したウスバシロはすべてオス、まだ出始めのもよう。 アザミで吸蜜するモンキチョウ♂を見る。〔養父市・香美町〕

5月13日(晴れ) たまたま早く帰宅したため、日没まで数十分間フィールドに出る。 尾根筋に生えるトネリコの樹の根元にウラキンパラシュートを探す。葉は落ちているものの幼虫は見つからず。〔加古川市〕

5月8日(曇り時々晴れ) ゴールデンウィーク最後の日、満を持して西播磨にアゲハの撮影に向かう。 思ったほど気温が上がっていかない。午前9時を過ぎても千種川沿いの気温は13℃しかない。9時半、昨年アゲハが群れていた渓谷沿いのアザミの群落に吸蜜にきているアゲハはいない。しかたがないので渓谷沿いの道を散策する。 コミスジ多い。今日はこの種を撮影する気が起こらない。 咲き始めたウツギの花で吸蜜するダイミョウセセリを見る。初見。 続いてヒメキマダラセセリ初見。目で追うのも困難なほどすばやく飛び廻り、時々アザミで蜜を吸う。 高原の集落の田のあぜにウスバシロが舞う。気温が低いためか活動する個体は多くない。ネギの花で吸蜜するオスを見る。地上3mのサクラの植栽の葉の上でウスバシロ交尾ペアを見る。そのうち別のオスが飛来し、案の定、交尾に割り込もうとする。こうなると3頭が入り乱れグチャグチャになる。 渓谷沿いにはどこでもスジグロシロが多い。吸蜜中のメスに交尾を迫るオス、メスは翅を広げ、体を反らせ交尾拒否のポーズ。諦めきれないオスはメスの周囲を飛び廻る。 コンロンソウで吸蜜&産卵するツマキチョウを見る。この渓谷での食草はたぶんこれであろう。 サワオグルマ(?)で吸蜜するツマキチョウ♂を見る。少々スレ個体だが、花を離れないため、じっくり腰を落ちつけて撮影する。 タンポポで吸蜜するベニシジミ♀を見る。ハッとするほど美しいメス。カメラで追いまわすうちにギシギシの茎に止まり、根元に向かって歩き始め、腹を折り曲げ産卵する仕草を見せるが産卵はせず。 コジャノメ初見。 アザミ群落にもどる。偶然、友人も撮影に来ていた。すばらしく美しいミヤマカラス♀が飛来、アザミの花で吸蜜を始めたが、あまりにも敏感で近づくと飛び去った、とのこと。 これを聞いて“待ち”の作戦に変更する。 時々やってくるオナガアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハを撮影する。オナガとカラスが遭遇し、追い駆けあうシーンでは、いくぶんカラスが優勢である。 アゲハの飛来回数は、数分に1回の割合でしかない。常に5頭、10頭と群れていた昨年とは大違いである。〔上月町〕 一旦、友人と別れ、20km離れたジャコウアゲハ生息地に向かう。例年、多数の個体が群れ飛んでいるのに、ここでもまったく飛んでいない。ウマノスズクサの生える斜面を歩いていると、新鮮なメスが飛び出す。葉にとまったところを慎重に撮影する。その後、継続的に飛び始める。低く飛びながら盛んに前足で下草に触れているところをみると、食草であるウマノスズクサを探しているのであろう。飛翔シーンを狙って30〜40回シャッターを切るが結局まともな写真は1枚もなかった。〔佐用町〕  2時間後、みたび、アザミの群落にもどる。時々しか晴れ間はやってこず、撮影には厳しい状況が続く。 交尾嚢を付けたウスバシロが吸蜜するのを見る。午後2時半、雲は更に厚くなり撤収する。〔上月町〕

5月7日(曇りのち晴れ、のち曇り) 早朝は昨日からの雨が残るが、午前8時ころから天気は急速に回復する。しかし風が強い。 9時過ぎからフィルードに出る。午後から所用があるため11時までの2時間が勝負。 ここのところお気に入りの神社のツツジの植栽にアゲハ類の撮影に向かう。 赤系のツツジはすでに花を落とし、今はピンク系が主に咲いている。 ナガサキ♂2頭が吸蜜、クロ♂は先日に同じく花株をパトロールし探雌行動に忙しそう。 ナガサキ♂の飛翔は緩やかであるが、それに比べクロ♂はせわしなく飛び廻っている。 ナミアゲハ、キアゲハ、コチャバネも盛んに吸蜜する。 コミスジは狭い範囲で3頭見かける。 畑のネギの花で吸蜜するのはコチャバネセセリ♀、オアスジアゲハ。 しかしながらネギの花で吸蜜中のチョウはどの種も本当に逃げない。撮影にはもってこいの場所を提供してくれる。〔加古川市〕

5月5日(晴れ) 兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会のフィールド活動の一環で早朝5時半から但馬に向かう。途中、各地で立ち寄り、撮影しながら一路ハチ高原へ。 高原の棚田にはすでに水が入れられ、残雪の氷ノ山を背景にすばらしい景観を見せる。 “守る会”メンバーO氏の尽力により、気象観測計器各種を製作・準備、本日はこの計器の現地への搬入、計器架台の基礎工事、地中埋設電線管工事を行なう。もちろん事前に県の了承を得ていることは言うまでも無い。1トントラック満載の機材を運び上げ、最後は人力で現地まで搬入する。これで気温、地中温度、降水量、風速、日照時間の5種類の計測が一年中、しかも無人で10分置きに記録されることになり、ウスイロ発生数と気象条件との関連が明らかになるはず。もちろん、ウスイロの前に純粋に気象観測の貴重なデータを得られることになり、まことに喜ばしい。観測計器の他に、鉄製の支柱架台、セメント、砂やジャリなど人力で運ぶことは結構大変だったが、実作業でかいま見るチョウとは別の“その道”のプロの技に驚嘆すること多く、吹き出る汗も苦にならず、実に楽しい3時間の現地作業であった。 標高1000mの高原は下界より季節の移りは2週間から3週間遅く、やっと芽吹きが始まったところ。 高原の草原のクローバーの新芽に産卵するモンキチョウ♀を見る。 ルリシジミ、スギタニルリ(?)、ミヤマセセリ、コツバメ、テング、スジグロシロを見る。 ウスバシロ、ミヤマカラスはまだ姿を現さず。〔養父市、香美町〕

5月4日(快晴) 今日も朝から快晴。 たまには家族サービスを!というわけでもないが、一家そろって岡山県に化石掘りに向かう。 途中、県境近くのお気に入りの撮影ポイントに寄り道。昨年、クロ系アゲハが群れていたアザミの花には唯の1頭もいない。花は咲いているのにどうもおかしい、やはり季節の移りが遅れているのかもしれない。 運転中、フラントガラスの前を横切るカラスアゲハ♂、オナガアゲハ♂を確認する。両種とも初見。 ツマキチョウを各地で見かける。ツマキはまだ今シーズン撮影していない。どこかで真面目に撮影しなければ・・。 最深部の集落では田起こしが始まっている。 ウスバシロ初見。出始めらしく数頭を見かけるのみ。春風に乗って滑空する姿はすばらしい。心が洗われるようである。 ネギの花で吸蜜していたのはアカタテハ、スジグロシロ。〔上月町〕 

5月3日(快晴) 朝から五月晴れの爽やかな青空が広がる。 朝8時からフィールドに出るがチョウの撮影とはべつの用向き。一汗流した9時半から各地を廻る。 日に日に数を増しているヒメウラナミジャノメにカメラを向ける。日頃こう言った“ド普通種”を集中的に撮影するときはそれなりの決意みたいなものが必要である。翅表の褐色が朝日を浴びて青紫に耀く。 明るい田んぼのあぜに咲くタンポポで吸蜜するミヤマセセリ♀を見る。後翅は一部破損していたが、吸蜜花や背景の萌黄色の野山との構図を考えながら撮影することは楽しい。 昨日に続きツツジの植栽で訪れるアゲハを待つ。昨日に比べ今日はこころなしかアゲハの数が少ない。こんなに天気が良いのになぜだろう。 ナガサキアゲハ♂、クロアゲハ♂はツツジの花株を次から次へと渡り、パトロールしていく。やはりメスを探している飛び方である。 ナミアゲハが花を移動する瞬間を狙って撮影を試みるが、なかなか納得のいく写真が撮れない。 ボロのコツバメがツツジの花株の最頂部でテリを張る。すでに鱗粉は剥げ落ちているためか、飛翔中は淡いブルーが印象に残る。 今日もツツジで吸蜜するコチャバネセセリが多い。 ツツジの花株の陰でアゲハの飛来を待つ時間に気がつくことは、いろいろな虫の羽ばたき音のうるささである。音の主は無数のクマバチ、ミツバチ、ハナムグリといったところか。 ハハコグサの新葉に産卵するヒメアカタテハ♀を見る。神社の境内に生える小さな葉に次々と産み付けていく。 ツマグロヒョウモン♂♀とも各地で見かける。 シロツメグサの花で吸蜜するモンシロを見る。 ひとまずアゲハの撮影は終了し、ヒメヒカゲ生息地に向かう。生息地の草原は時折ナミアゲハが流れていく程度であとはあまりいない。日差しが強く、頭がクラクラするような感。 スゲの一種にヒメヒカゲ終齢幼虫を見つける。昼間から葉を齧っていたようだ。 同じスゲに褐色の幼虫を見る。体長は約20mm、多分ナミジャノメの幼虫であろう。でもひょっとしたらヒメウラナミジャノメかもしれない。持ち帰り飼うことにする。 田んぼのあぜに咲くキンポウゲで吸蜜するベニシジミを狙う。これが結構難しく、10分以上費やしたところでアホらしくなって止める。〔加古川市〕

5月2日(午前:曇りのち晴れ、午後:うす曇りのち晴れ) 午前中は仕事、午後1時過ぎからフィールドに出る。昼前は結構天気が良かったのに、フィールドに出る頃から薄い雲が空一面に広がっていく。 今日も懲りずにギフ産卵シーンの撮影を目論み、数箇所のヒメカンアオイ群落を廻るが、1頭も見かけず。コナラの若葉も広がり、雑木林の中はだいぶ暗くなってきた。今春のギフの世代交代はもう完了したのかもしれない。 撮影対象をスパッと切り替え、雑木林の麓の植栽ツツジにやってくるアゲハを狙う。赤いキリシマツツジ園芸種にナミアゲハが群がる。時には4頭が連なって飛ぶ。 キアゲハも無心に吸蜜を繰り返す。花の中に体ごと突っ込んで吸蜜する姿はなかなか躍動感があって絵になる。花から花へと移動する瞬間を狙ってカメラを構えるが、ウ〜ン、難しい! クロアゲハ♂はツツジ園芸種(アケボノ種)の株を順々に巡って飛び廻る。明らかにメスを探している飛び方である。30分に1回程度、自らも吸蜜する。 ナガサキアゲハ初見。後翅の白紋も鮮やかな大きなメスが実に優雅に飛ぶ。強く羽ばたくことなくフワフワと、時には滑空しながらツツジの株を移動し、吸蜜を繰り返す。数年前のこの時期に撮影した同種のメスは後翅の白紋も薄く、クロアゲハのような個体であったのだが・・、個体によってえらく違うものである。吸蜜の間、ヤエザクラの葉で休む。 ナミ、キ、クロ、ナガサキの各アゲハの活発な活動を一時間やそこらではとても満足に撮影できない。明日もチャレンジしよう! アオスジアゲハ初見。雑木林の縁の畑のネギの花で吸蜜する。とても新鮮。10cmまで近寄っても気にしない。 ネギの花に来ていたのはツマグロヒョウモン♂、ヒメウラナミジャノメ、それとセイヨウミツバチ、ハナムグリである。チョウ3種を時間をかけてじっくり撮影する。〔加古川市〕

4月29日(晴れ) 今日からゴールデンウィーク、撮影しまくるぞ!朝7時からシルビア生息地に向かう。早春、徹底的に火入れが行なわれた池の土手ではミヤクグサの新芽が伸びている。かなりスレているシルビア♀発見。陽の光を効率よく当てる位置取りで体を倒す。いつ翅を開いてくれるかと待つこと30分、結局私が根負け、諦めた。当地を1週間前に訪れた友人によると、1週間前にはすでに現われていた。求愛、交尾、産卵の各シーンが見られた、とのこと。徹底的な火入れをされると、蛹はダメージを受けるが、逆にミヤコグサの成長にとって火入れは他の競争する植物を駆逐するなどプラスに働き、シルビア・ミヤコグサの関係はマイナス&プラスで微妙なバランスを保っているのではないだろうか。 8時を過ぎるとモンキチョウやベニシジミが活発に飛び回る。 畑の作物にモンシロチョウが群がる。 コチャバネセセリ初見。雑木林の縁で占有行動を見る。 同じ場所の地表近くではカラスノエンドウに発生しているツバメシジミ♂が多い。 明るい開けた公園を速く直線的に飛ぶツマキチョウを見る。 雑木林の中ではミヤマセセリ♀が飛び回る。ミヤマセセリの目撃総個体数は1週間前に比べて大きく数を減らしている。昨秋の台風で倒れたコナラの大木がまだ生きているため、地表近くで新葉を広げるその周囲を活発に飛び回っている。産卵行動であろう。 クロコノマ♀を見る。近づくとバタバタと逃げるいつもの飛び方である。 雑木林の中の小道のマメ科の小さな芽に産卵するキチョウを見る。産み落とされた卵は図鑑通りの紡錘形である。 ヒメウラナミジャノメは数を増している。雑木林の中、縁、それこそどこでも飛んでいる。〔加古川市〕  ツマグロヒョウモン初見。畑の土手を活発に飛ぶが、今日見た個体は著しく小さく、キタテハ並の大きさ(小ささ)である。〔小野市〕  畑の土手のシロツメグサに次々に産卵していくモンキチョウ♀を見る。飛翔撮影は失敗。 同じ場所でヒメアカタテハを見る。〔加西市〕  今日のフィールド出撃の第一目的はギフ産卵シーンの撮影。しかしながら唯の1頭も出遭わず。ほぼ同時刻、ギフの産卵調査中の友人によれば複数箇所でギフ産卵を目撃とのこと。あまりに悔しいので、正午過ぎからもう一度同じところを廻るがまたしても出遭わず。日頃の行いの悪さがこんなところに出てしまった!ギフ卵塊を撮影する。〔播磨地方各地〕  昨年の同時期、多くのジャコウアゲハが群れていた畑を訪ねるが唯の1頭もいない。昨年に比べ一週間は季節のめぐりが遅いようである。 クロアゲハ初見。すばらしいスピードで畑や林の中を飛ぶ。時折、神社の植栽のミヤマキリシマに吸蜜にやって来る。 ヒラドツツジの花に体ごと突っ込んで蜜を吸うコチャバネセセリが多い。 サトキマダラヒカゲ初見。〔加古川市〕

4月24日(快晴) 朝8時半から加古川市主催のチョウ観察会の世話役のひとりとして参加する。市の事前広報が行き届いていたのか、60人以上が集まる。小学生とその親御さんがその中心。新葉の成長が盛んな、すがすがしい雑木林の中を歩くことは楽しい。 ベニシジミ、コツバメ、ツバメシジミ、トラフシジミ、ナミアゲハ、キアゲハ、モンシロ、モンキ、キチョウ、ツマキチョウ、ミヤマセセリ、ルリタテハ、ヒメウラナミジャノメを見る。蝶愛好者からみれば“駄蝶”ばかりであるが、子供たちはこれらのチョウの姿を見つけると嬉々としてネットを振っていた。かつて我々のだれもが通ってきた道であり、このうちひとりでもふたりでも、これからもチョウに興味を持ち続けてほしいものである。 ニセアカシアの新芽で産卵行動を見せるトラフシジミを見る。実際に産卵したかどうかは、チョウまで距離があったため確認できず。 イヌザンショウに産卵するナミアゲハを見る。〔加古川市〕  観察会が終わった午後0時半からギフ生息地を廻る。3月13日に確認したギフ蛹は結局羽化せず。なかなか厳しいものである。 ヒメカンアオイ自生地で計3頭のギフを見る。今日も産卵シーンには出遭えず。 午後になると東向き斜面の生息地ではほとんど見かけない。南向きか西向きの午後になっても光が差し込む明るいところを好むようだ。地上3mの竹の葉で休むメスを見る。〔播磨地方各地〕

4月23日(但馬:曇り、播磨:晴れのち曇り) 朝6時半自宅発で今シーズン初めて但馬に向かう。 9時着、車を降りると肌寒く、思った以上に残雪がある。三川山NTT林道ゲート前には大量の雪、昨年に比べると一週間から10日は雪解けが遅れている。気温もやっと10℃を上回っているくらいか。 スギタニルリは出始めか気温が低いためか分らないが数は少ない。 コツバメのテリ張りを見る。 産卵行動中のアカタテハを見る。 撮影場所を変えるが、さらに雲が厚くなり、おまけに小雨も落ちてくる。 いつもギフ♂がテリを張る林道では今日は何も飛んでいない。昨年の台風の爪あとが残り、数多くの切通し崩落している。 突然ヤマドリが飛び出したと同時に林道に止まっていたらしいギフ♂も飛び立つ。鮮度確認する間もなく樹冠に消える。〔豊岡市 *旧日高町〕 蘇武トンネルを抜け旧村岡町へ。薄日が差すがそれでも15℃くらいしか上がらない。谷沿いの崖に越冬明けスジボソヤマキ♀を見る。〔香美町 *旧村岡町〕 こんな天気・気温ではシャッターチャンスはおぼつかないので急遽、播磨に戻る。 産卵にやって来るギフ♀を狙ってヒメカンアオイ自生地を廻るが出遭わず。僅かに雑木林の縁を高く速く飛ぶ1個体を見るのみ。一瞬コバノミツバツツジで吸蜜を始めたが、数秒しか花に留まらずカメラを構える時間すらなかった。 ヒメカンアオイの葉の裏にギフ卵塊を見る。〔播磨地方某所〕 ヤマトシジミ♀を見る。ツバメシジミ♂は新鮮。ヒメウラナミジャノメ初見、計2箇所で見かける。〔加西市、加古川市〕

4月17日(快晴) 昨日に続き快晴の一日。 不本意ながら“朝からダッシュ”は出来ず、所用をこなす。フィールドに出られたのはようやく10時半。 ヒメヒカゲ生息地はまだ一面の枯草草原、そんな中でコバノミツバツツジのピンクが点々と配置されている。 多くのナミアゲハを見る。そのうちの1頭が緩慢な飛翔、近くで観察すれば、明らかに産卵行動中のメス。ここでの発生木はイヌザンショなのだが、この時期はまだ新葉を伸ばしていない。母チョウは丁寧に一本一本枝を足で触り、イヌザンショかどうか確認している。時折コバノミツバツツジで吸蜜する。〔加古川市〕  観察地を移動する。今日もギフを求めて雑木林をさまよい歩く。林の中の小道でボロのオスに出遭う。鳥に襲われたのか、左右とも前翅先端と右後翅を全部損失している。よくもまあこれで飛べるものだと感心する。 その他のポイントを廻るが、ポツポツとしか見かけない。本当に今年は少ない。このまま歩き回るのも如何なものかと気がつき、ヒメカンアオイ自生地でメスを待つ作戦に変更する。これがズバリ的中!低く緩やかに飛び、産卵に適した葉を物色するメスに出遭う。新鮮で美しいメスである。いくつもの葉にとまるがなかなか産卵しない。追いかけること数分、ようやく貧弱な株の貧弱な葉の裏に産卵開始。産卵を始めるとしばらく動かないため、撮影し易いようにレンズの前の枯れ枝や落ち葉を片付けようとしたところ、母チョウが感づき突然舞い上がる。結局3卵しか産みつけていなかった。産卵シーンの撮影は失敗。 この母チョウ、このあとコバノミツバツツジで吸蜜を始める。こちらは何とか撮影成功! 小ピークでテリを張るナミアゲハ、キアゲハを見る。ナミアゲハのテリ張りは延々と飛び続けるパトロール型だが、キアゲハは見晴らしの良い枝先にとまる待ち伏せ型である。〔播磨地方某所〕

4月16日(快晴) 朝からすばらしい青空が広がる。午前9時からフィールドに出る。 コツバメの活動が活発、どこでも占有行動、盛んにスクランブルをかける。 明るい雑木林の縁を飛ぶツマキチョウ♂を見る。同じところを往ったりきたりで、これを4〜5回繰り返す。探雌行動であろうが、テリトリーを張っているような動きであった。吸蜜花はタンポポ、吸蜜時間は短い。 雑木林のなかにトラフシジミが多い。今日は翅を閉じた個体ばかりで、しかも生意気に敏感、撮影意欲は湧かず。 ルリタテハ、テング、ルリシジミを見る。テングは一気に数を減らしている。 見かけるミヤマセセリはメスの比率が上がってきた。羽化直後の動きの鈍い個体に遭遇、じっくり時間をかけて撮影する。 小ピークではナミアゲハ、キアゲハが飛び回り、盛んに追い駆けあう。 コナラの幹にとまる新鮮なイボタガを見る。 畑の土手にベニシジミ、ツバメシジミが多い。 〔加古川市〕  本日も「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で、この時期恒例の成虫観察会に参加する。各地を回るが、残念ながら今年の発生数は少ないようだ。昨年に比べ半分以下、ひょっとしたら四分の一以下かもしれない。〔播磨地方各地〕

4月14日(快晴) 仕事で京都北部の舞鶴へ出張の途中、僅かな時間を確保して西脇で途中下車。 数年ぶりに西脇ギフ生息地に向かう。気温はようやく10℃を超えたところか、この気温では活動するチョウはいない。30分後にミヤマセセリが飛び出す。 東向きの斜面でナミアゲハが飛び回るようになるが、依然としてギフは現われない。 分単位で気温が上がるのを感じる。 コツバメの活動が盛んになる。占有行動、それに続く追尾飛翔では上空高く、2頭がゴマ粒くらいに小さく遠くになるが、それでも追い駆けあう。 フィールドに出て1時間後、残念ながらタイムオーバーと諦めかけたところ、突然新鮮なギフ♂が現われる。 僅か一桁のカットしか撮影できなかったが満足の数分間が過ぎる。 それにしても今年は西脇のギフも少ないように感じる。 スジグロシロチョウ、ツマキチョウ初見。〔西脇市〕

4月10日(曇りのち晴れ) 朝から曇天、天気予報を信じ、雨が降る前にと、朝7時半からフィールドに出る。 雲も厚く気温も上がらず、飛び出すチョウはまったくいない。お目当てのコツバメもミヤマセセリも(もちろんギフも)姿を現さない。 雑木林の中で越冬明けのクロコノマを見る。翅は大きく破損していたが、他に適当な被写体もいないので慎重に撮影する。 雲も厚く天候の回復は望めないため引き揚げる。 一旦帰宅し所用をこなしていたところ、天気予報に反するように急速に天気が回復する。午後1時から再びフィールドに出撃、しかし風が強い。 小ピークでは強風の中、ナミアゲハ数頭が占有行動パトロール中。 雑木林の中の陽だまりにはキチョウが多い。 畑の土手に産卵草を探して低く飛び回るアカタテハ♀を見る。 丘の上、雑木林の中、縁など、いろいろなところでルリシジミが多い。 ミヤマセセリの求愛行動を見る。地表近くでホバリング飛翔するメスの斜め前方上で同じようにホバリングしながらメスを誘うオスを見る。オスの求愛と言えば後方から追い立てるのが普通かと思っていたが、今日のミヤマセセリにしても、以前に目撃したモンキチョウやナミアゲハにしても、飛翔中のメスへの求愛は斜め前方上をオスが誘うように飛ぶことがオーソドックスなスタイルなのかもしれない。 ミヤマセセリ♂の吸水を見る。 ルリタテハ各地で多い。 畑の土手を低く飛ぶツマグロキチョウを見る。当播磨地方でこの種を目撃するのは過去11年間で通算3回目である。ハコベの白い花で数秒吸蜜する以外はずっと飛び続ける。10分以上追い続けたが逃げられ、結局撮影は失敗。 昨日に続き各地を回ったが、本日はギフを見かけず。〔播磨地方各地〕

4月9日(快晴) 待ちに待った好天、朝9時からフィールドに出る。 各地でミヤマセセリを見る。数を増している。気温が高いためか止まらずずっと飛び続ける。 新鮮なベニシジミを見る。 小ピークにキアゲハとナミアゲハのテリ張りを見る。キアゲハは初見。キアゲハ4〜5頭、ナミアゲハ2〜3頭が盛んに追い駆けあう。キアゲハの吸蜜花はタンポポ、しかし一回の吸蜜時間は短く、すぐ占有行動に戻る。 ルリシジミ多い。 ツバメシジミ♂初見。見かける数が多いためかなり前から発生しているもよう。 ヤマトシジミ♂らしき飛翔個体を見るが同定できず。 小ピーク2箇所でテリを張る越冬明けヒオドシを見る。他の種類が接近すると盛んにスクランブルをかける。顔のすぐ前を通過した際、羽ばたきの音を聞く。今日確認した個体はいずれも色あせボロであった。 今日はなぜか見かけるテングの数が少ない。 今日の目的はやはりギフ。9時半過ぎにまず訪ねたヒメカンアオイ自生地、何の前触れもなく突然足元からギフが飛び立つ。新鮮なオス、前日羽化の個体か?飛翔は力強いが移動距離は短い。うまく足元に止まったところを撮影する。 他の生息地を移動。 小ピークで数頭のナミアゲハに混じり1頭のギフ♂がテリを張っている。矮小なナミアゲハより大きいくらいの大型個体。飛翔も強く、気も荒く、ナミアゲハやヒオドシにも負けず、自ら積極的に追いまわし、しかもとまることはなく延々と飛び続ける。従ってシャッターチャンスは無し。 ギフを求め、さらに撮影地を移動する。 ようやく、たった今、羽化したばかりの超新鮮な個体に出遭う。翅は伸びきっているが、飛翔は弱弱しく、飛び立ってもすぐに舞い降り、すばらしく美しい翅を披露する。思わずため息が出る瞬間である。広角から望遠から、順光から逆光から、開翅から閉翅から、上から下から、前から横から後ろから、大画像から小画像から、とさまざまに変えながら、カメラ3台を併用し思う存分撮影する。まさに至福の時間! 播磨のギフはようやく出始めで、まだ数も少なく、今日の撮影成功はラッキーの一言に尽きる。 ルリタテハを見る。 同行の友人がコツバメを目撃したとのことであるが、私自身は確認出来ず。〔播磨地方各地〕 *追記、トラフシジミ初見〔加古川市〕

4月3日(早朝は雨、曇りのち晴れ、夕方から曇り) 雨は朝早く止み段々と薄日が差してくる。 気温が上がった午後からフィールドに出る。 先週に続きコツバメを狙うが今日も姿を見せない。例年早い出現のポイントばかり4箇所をまわるが無駄足となる。 雑木林の中ではどこでもテングが舞っている。それでも昨年の同時期に比べると見かける個体数は半数以下か?テングは同種だけでなくハエにもスクランブルをかける。 林の中の石の上で日光浴中のルリタテハを見る。越冬明けながら、翅の破損は認められず、なかなか美しい個体である。人の気配に敏感で2m以内に近寄らせてくれない。 林道上にキタテハを見る。 小ピークにルリシジミ♂が多い。4〜5頭くらいがとまることなくずっと飛び回っている。 同じ小ピークでテリを張っていたのはナミアゲハ♂。こちらもとまることなく延々と飛び続ける。今年初めての飛翔撮影にチャレンジ。わずか5回しかシャッターを切れなかったが、最後にスカッと決まってくれた。 ミヤマセセリ初見、シャッターチャンスは訪れず。〔加古川市、小野市〕  ギフ発生確認のため各ポイントを精力的に周るが、今年はまだまだの様子。例年に比べ春の訪れが遅いためだろう。〔播磨各地〕

3月27日(晴れのち曇り) 早朝から所用をこなし、午前10時からフィールドに出る。薄い雲がかかるが気温も高くまずまずの天候。 コツバメを狙い毎年発生が早いポイントを回るがいずれもまだ出ていない。 ミヤマセセリやトラフシジミも見かけない。 畑のあぜにモンキチョウ♂、ベニシジミをみる。両種とも盛んに日光浴をしている。 雑木林の中にテングが多い。時には4〜5頭がひとかたまりに集まっている。地表で開翅しているすぐそばを別の個体が通過すると盛んにスクランブルをかける。 ルリタテハを見る。ひとの気配を感じてひとたび飛び立てば当分の間戻って来ない。 越冬明けキタテハの求愛行動を見る。メスは翅を閉じ交尾拒否の姿勢、オスはあきらめられないのか、メスの側面に回りこみ、翅を広げメスの後部に頭突きするように求愛する。メスは翅を閉じまったく動かない。数分ののち、突然メスが飛び立てば、オスはすばらしい飛翔能力を発揮し完璧に追尾していった。〔加古川市〕  友人と合流し。ギフの蛹探しに向かう。 どこでもテングが多い。 昨シーズン、羽化に遭遇したポイントを探すが、残念ながら今日は見つからない。但し、ギフ蛹の昨シーズン以前の抜け殻を2個体分発見する。〔播磨地方某所〕 

3月21日(快晴) 春本番の一日、朝9時からフィールドに出る。 まずは花公園へ。越冬明けのムラサキシジミを見る。サガンカの落花に付いた水分を吸っていた。 越冬明けテングを見る。敏感で近寄らせてくれない。 モンシロ初見、風に流されアッという間に飛び去る。 ウメに花に集まっていたのはミツバチのみで、チョウの姿なし。〔加西市〕  小高い丘の果樹園の中、地表近くをモンキチョウが飛ぶ。 竹やぶの縁に越冬明けキチョウが多い。オオイヌノフグリやタンポポで吸蜜する。 フキノトウで吸蜜するヒメアカタテハを見る。昨日に続き2日連続の目撃である。 畑の周囲を滑空するように飛ぶアカタテハを見る。産卵のための食草を探しているような飛び方である。 雑木林の縁の畑でテングを数頭目撃。こちらのテングは簡単に撮影させてくれた。〔加古川市〕 小高い丘の尾根筋でナミアゲハ♂の飛翔を見る。もちろん初見。占有行動中のようであった。 昨日に続きルリシジミ♂の飛翔を見る。〔小野市〕 *2年ぶりにカメラを新調し、本日から本格的に使い始める。機能をまだ充分理解していないので、実際使ってみると戸惑うことばかり。使いこなせるまで何ヶ月?かかることやら・・・。 

3月20日(薄曇りのち晴れ) ようやく春らしい日差しがもどってきた。それでも気温は15℃くらいしか上がっていない。早朝帰宅し、午前中は二日酔いでダウン、ようやく午後からフィールドに出る。 雑木林の縁の南向き畑を歩く。思った通りベニシジミを見つける。計3頭、いずれもオスのようだ。効率よく陽光を浴びるため盛んにV字に翅を開く。意外に敏感でカメラを近づけすぎるとパッと飛び立ってしまい、すぐに見失う。 タンポポで吸蜜するヒメアカカテハを見る。この種の幼虫は餌を食べ成長しながら冬を越すとされているが、個人的には、幼虫だけでなく、成虫でも越冬しているのではないかと思っている。数年前、春一番でボロの成虫を見たことがある。 ギフ♂が集まる小ピークに移動する。越冬明けヒオドシくらいいるのでは?と期待して行ってみたがさすがに何もいない。木の芽の芳香が漂い心地よい。 下山途中、ルリシジミの飛翔を見る。初見。 加古川河川敷堤防にモンキチョウ多い。時々タンポポで吸蜜する以外は、地表の草むらにもぐり込み、体を倒して静止していることが多い。オス5〜6頭、メス2〜3頭が狭い範囲で活動しているようだ。〔加古川市〕

3月19日(曇り時々晴れ) 午後から「加古川流域サミットinやしろ」に参加する。加古川流域で、環境問題やまちづくり等に取り組んでいる仲間の交流会。さまざまな立場の参加者から幅広い意見が続出し夜を徹して楽しく語り合う。〔社町〕

3月13日(晴れ時々雪) 水曜、木曜のあの暖かさはどこへ行った?と思わず嘆きが出るくらい寒い日。晴れ間と雪雲が交互にやって来る。 午前中は仕事、早々に帰宅しフィールドに出る。 河川敷の土手にベニシジミ成虫を探すが飛び出さない。友人の情報では1週間前の3月7日に播磨町にて初見とのこと。 ベニシジミの代わりに飛んでいたのはモンキチョウ♀、もちろんこれが初見。たぶん2,3日前のぽかぽか陽気の日に羽化したのであろう。昨年の初見日2月14日に比べると約1ヶ月の遅れ。〔加古川市〕  友人にお願いして、野外ギフ蛹に案内いただく。たまたま1週間前に発見したとのこと。蛹は平べったい10cmくらいの浮石の隙間に付いていた。蛹の表面にはトビムシ(?)の幼体の白い抜け殻がいくつか付着しており活きているのかどうか自信が持てない。〔播磨地方某所〕

3月5日(晴れ時々曇り、一時しぐれ) 今日も寒い。 正午を過ぎても気温は10℃まで上がっていないようだ。 久しぶりに花公園を散策する。 南側の風の当らない斜面に越冬中(明け)のテングを探すが飛び出さない。 梅林もポツポツと花を付けはじめた程度、しかもこの寒さのなかでは吸蜜にやってくる虫もいない。ミツバチさえ来ていないのだからチョウがいるわけがない。〔加西市〕 帰りにシルビア生息地のひとつを訪ねる。池の土手の生息地はものの見事に、完璧に火入れされていた。しかしながら、今こんな状況でも4月になれば例年通り成虫が現われるのだろう。〔加古川市〕

2月27日(晴れ時々曇り、一時みぞれ&小雪) もうすぐ3月だというのに真冬のように寒い日。 昨日は仕事、今日は溜まった所用をこなすだけのあっぷあっぷの一日。 河川敷土手にベニシジミ幼虫のその後状況を確認に行く。2週間前確認した4頭の終齢幼虫は見つからない。蛹化しているのであれば近くにいるはずだと、半径50cmの範囲を目を皿のようにして探すがそれでも見つからない。〔加古川市〕

2月19日、20日(曇り時々雨) 神奈川県立生命の星・地球博物館で行なわれた、日本チョウ類保全ネットワーク主催による“チョウ類の保全を考える集い”に参加する。〔神奈川県小田原市〕

2月13日(晴れ時々曇り) 市内最深部の集落を歩く。ほれぼれするような典型的な里山環境。1980年代までタガメが多数生息していたらしい湿地の水田、ミドリシジミが乱舞するハンノキ林、水路にはいまでも小魚が泳ぐ、雑木林の中に一歩足を踏み入れればギフ食草のヒメンカンアオイが自生している・・私のお気に入りの撮影ポイントである。 加古川河川敷土手にベニシジミ幼虫を見る。3週間前の幼虫はこちらの期待通りまるまる太っている。小さな株に4頭、紅色背線タイプが3頭、緑単一タイプが1頭である。蛹化はまもなくであろう。〔加古川市〕

2月12日(晴れのち曇り夕方一時雨) 「兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」定例打合せ、10時から夕刻まで時間をかけて、さまざまな内容について討議する。〔神戸市〕

2月11日(晴れ時々曇り、一時みぞれ&雨) 午前中に所用を済ませ、午後からフィールドに出る。 フィールドに出た頃からみぞれ混じりの小雨となる。 イボタにウラゴマダラシジミの越冬卵を探すが今日も見つからず。 雑木林の縁の野菜畑、キャベツやダイコン、ブロッコリーにモンシロ幼虫&蛹を探すが見つからない。真新しい食痕もなく、幼虫は活動していないかもしれない。昨年のこの時期では幼虫を確認していることから考えると、昨年に比べ今年の冬は寒いといえるかもしれない。 ナツミカン、タチバナ、キンカンなど柑橘類の樹にアゲハ類の越冬蛹を探すがこれまた見つからない。 まあこんな日があっても仕方なし。〔加古川市〕

2月5日(晴れ) ここのところ休日になると予定が入り、なかなかフィールドに出られない。悶々した週末が続く。 今日は僅かな時間を見計らって西播磨に向かう。千種川沿いの気温は7℃、それでも暖かく感じる。 昨年10月の台風で倒れたナラガシワの大木にゼフ卵を探す。倒れても僅かに根付いているらしく樹自体は枯れていない。 ヒコバエの新芽の付け根にウラジロミドリの越冬卵を見る。薄緑色のカビ(?)が表面に付着し目立たない。 その他、何かに食い破られた卵殻を見る。 時間をかければもっと見つかるだろうが、だんだん体が冷えてきて1時間でやめる。 オオイヌノフグリはあちこちで咲いている。〔上月町〕

1月22日(晴れ) 西寄りの風が吹くが朝から暖かい。 加古川河川敷の南東向きの土手、スイバの株にベニシジミ幼虫を探す。ほとんどの株で簡単に見つかる。今シーズン、この場所ではまったく成虫が見られなかったのだが・・。2齢(?)から3齢(?)が多く、丸まる太った終齢幼虫は見かけず。緑色の地に薄く紅色の背線が入るタイプの幼虫ばかり。スイバの根元には真新しい糞もあり、真冬でも食餌しているのがよく判る。〔加古川市〕

1月16日(晴れ) 昨日の雨があがり少し風が強いが穏やかな日。 午後から1時間だけフィールドに出る。 池のそばに生えるハンノキの幼木にミドリシジミの卵を探す。あまりにもハンノキの本数が少なく、6月の成虫の目撃頭数も僅かだったので、卵が見つかるかどうかあまり自信がなかったが、すんなりと発見。3卵、1卵と地上1.5mの幹の北面の樹皮に産み付けられていた。 南向きの池の土手は暖かく、もしや何かの成虫が飛び出すかと期待したがさすがに何も出てこず。〔加古川市〕

1月10日(晴れ時々曇り) 冬型の気圧配置で肌寒い。 午後から1時間、加古川河岸段丘のイボタの林でウラゴマダラシジミの卵を探す。残念ながら唯の1卵も見つけられず。成虫シーズンには乱舞する生息地であるが、イボタの木が多すぎて卵探しも難しい。〔加西市〕

1月3日(晴れ時々曇り)  雪の鈴鹿に比べて当地が温暖であることを実感する。 ウラゴマダラシジミの卵を探すが見つからず。昨年まで3年連続で確認した枝にも今年は見当らない。 キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーに付いているモンシロ幼虫は更に数を減らしている。それに比べハクサイの生存率が高い気がするが、場所を考えるとじっくり調査というわけにはいかない。 池の土手に生えるミヤコグサをかき分けシルビアの幼虫を探すが見つからず。代わりに出てきたのがモンキ幼虫、一旦体を丸めると容易に活動を再開しない。 今日もチョウの成虫は見かけず。 ナナホシテントウの活動を見る。 紫色のハムシの交尾を見る。〔加古川市〕


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